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“鉄の女”が尊敬する“信念の男”とは? 上川陽子法相は“日本版ハリス”になれるか

はんこ廃止、犯罪被害者支援…夫は東大時代のクラスメート

2020/11/12

米上院議員の政策立案スタッフを経験、大統領選にも参加

 カトリックは死刑廃止を掲げるが、上川氏は「法務大臣の職にありながら、個人の思想・心情で死刑の手続きをしないのは、職務の放棄」との見解を示している。公私を切り分け、確固たる信念を持つ「鉄の女」と言われる由縁だ。

 高校卒業後は東京大学に進学し、「国際関係論」を専門とした。その後、シンクタンクの三菱総合研究所研究員を経て、米ハーバード大学大学院へ留学し、政治行政学修士を取得している。その武器を生かし、米国上院議員の政策立案スタッフを経験、米大統領選挙運動にも参加している。帰国後、政策コンサルティング会社を設立。2000年の衆院選で初当選を果たし、04年に自由民主党女性局長、05年に総務大臣政務官に就任している。

©時事通信社

 07年には、第1次安倍改造内閣で内閣府特命担当大臣(少子化対策、男女共同参画、食育、青少年育成)として初入閣。13年に総務副大臣、14年に1回目の法務大臣になっている。安倍前首相から信頼を受け、その下で官房長官を務めてきた菅首相のお眼鏡にもかなったのだろう。華やかなキャリア、順風満帆な政治家人生だ。

夫は東大同級生でエリート銀行員。選挙にも献身的に協力

 上川氏の夫は東大時代のクラスメートという。エリート銀行員として勤めながら、上川氏の選挙運動にも献身的に協力してきたようだ。夫婦の間には、2人の娘がおり、上の娘さんが30代後半、下の娘さんは20代前半と年は離れているが、夫と同じく上川氏の選挙を手伝うなど、政治家である母の良き理解者のようだ。「女性活躍」を掲げて、自身も精力的に活動する上川氏を家族で支える、いわば理想的な家族のあり方が上川氏の活躍の基盤にあると言える。両親も孫の面倒を見るなど、一致結束した家庭環境が上川氏が政治家として勇躍する重要な要素になっているようだ。

 愛読書は司馬遼太郎の著書。趣味は「合気道、日本舞踊、ラジオ体操、合唱、グラウンドゴルフ、ターゲットバードゴルフなどのニュースポーツ」と多彩だ。教養や武道に根ざした精神性、政治家によくある「目立ちたがり屋」でもなく、堅実な仕事ぶりに法務官僚の評価は高い。

失言続きで安定性に欠いた森まさこ前法相

 近年は公職選挙法違反事件で逮捕・起訴された河井克行元法相といい、失言続きで安定性に欠いた森まさこ前法相といい、「困ったトップが多かった」という。ある法務官僚は「自民党政権復帰後で言えば、谷垣禎一さんはダントツで素晴らしい大臣だった。上川さんは谷垣さんと同レベルの安定感はある」と語る。

谷垣禎一 ©文藝春秋