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美人妻だと公言すること

 こうした価値観が存在し、実際に口にしているうちに“実”が“虚”に呑み込まれてしまう。そうして本当に「妻を女として見られない」という負の流れが完成してしまう。あんなに強い恋愛感情を抱いて一緒になったはずが、もう話をすることすら億劫になる。人間は思い込みに支配される動物なのだ。

 真由美と付き合い始めた頃、ライブなどでよく「すごく綺麗な彼女ができましてね」と話していた。あまりにもあけっ広げに話をするので、ファンの子からは「冗談だと思いました」と言われた。芸人には「そこまで綺麗だ綺麗だって言うのは、実はめちゃくちゃブスなんですか?」とフリだと思われたこともある。

 当時は芸人のアイドル視が今よりも強く、彼女ができても公表する芸人は少なかった。でも関係なかった。だって隠し切れないほど綺麗な彼女ができたから。今でも僕は真由美を「美人妻」と公言している。他人からの反応はどうでもいい。僕にとって美しい妻なのだから、それは間違いなく美人妻なのだ。

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女性としての自信を支える

「美人とはなにか」と考えたとき、僕はまず姿勢と視線と笑顔から始まると思う。それらを支えるのは女性としての“自信”だ。

 どれほど素敵なプロポーションでも「もうババアだ」と言われれば背筋が曲がる。

 どれほど顔が整っていても「ブスだ」と言われれば視線は落ちる。

 どれほど明るくても「女として見られない」と言われれば笑顔が消える。

 それらの言葉がたとえ身内の謙遜であったとしても、だ。女性の“美”に関する敏感なレーダーは、良くも悪くもあらゆる言葉を拾い上げてしまう。

写真はイメージです ©iStock.com

 文化、風潮というのは根深いものだ。ここ日本において、はじめは物珍しげに見られるだろう。しかし胸を張って言い続ければいい、「うちの妻は誰よりも綺麗だ」と。

 気づいたら本当に世界一美しい女性が、貴方の隣に立っていることだろう。敏感なレーダーは、貴方の愛の言葉(スペル)を余すことなく拾い上げるから。

今日も嫁を口説こうか

祐希, 平子

扶桑社

2020年10月28日 発売