全国最大勢力を誇る暴力団・6代目山口組と5年前に分裂した神戸山口組の抗争が止まらない。

 11月3日、兵庫県尼崎市で神戸山口組3代目古川組の仲村石松組長(64)と親泊吉広舎弟頭(61)が銃撃され、重傷を負う事件が起きた。白昼の住宅街で飛び交った凶弾は少なくとも3発。仲村組長は両足の太ももを撃たれて大腿骨が粉々になり、舎弟頭も左手を打ち抜かれた。2日後に逮捕されたのは、山口組の傘下組織幹部だった。

「山口組と神戸山口組は昨年来、互いに意趣返しのような事件を起こし続けている。今年1月に双方を『特定抗争指定暴力団』に指定したが、警戒を強める中で今回の銃撃は起きた。危機感はこれまで以上に強い」と警察幹部は言う。

ADVERTISEMENT

白昼の住宅街で飛び交った凶弾は3発 ©時事通信社

通行人に血しぶきが飛び、路上に血だまりが広がる惨劇

 乾いた銃声が響いたのは午前11時35分ごろ。現場は仲村組長の自宅そばにあるコンビニ前の歩道だった。

「パン、パンという音がして外を見たら電柱の脇に血だらけの男性が倒れていた。普段から子供らも盛んに通る場所。怖くて仕方ない」(近くの主婦)

 通行人に血しぶきが飛び、路上に血だまりが広がる惨劇に加え、現場からは2人組の男が拳銃を持ったまま逃走。近隣住民らは震え上がった。

 事件の背景に何があるのか、地元暴力団周辺者が語る。

「抗争が収まる気配がないどころか、襲撃した山口組にとっては『警察の警戒など関係ない』と宣言するような事件やな。仲村親分は神戸山口組の若頭補佐で直参を務める幹部で、山口組側にも明確な思惑があったんは間違いない。厳しい捜査の手が伸びることも分かってたやろ。一方の兵庫県警は実行犯の逮捕がスムーズにいかずピリついとるわ」

©iStock.com

 捜査当局や暴力団関係者の間では、山口組が「神戸山口組に対する攻勢の手を一切緩めるつもりがない」という姿勢を改めて示した事件との見方が大半だ。