警察は「もう一人はどうしたんや!」と怒鳴り散らした
「仲村組長らは事件の直前に岡山県警を名乗る男から『話が聞きたい』と電話で呼び出され、コンビニまで来たところを至近距離から撃たれている。実行役の2人は事件の1時間ほど前に近くのドラッグストア駐車場に黒いワンボックスカーを止めてじっと待機していた。狙撃後はすぐに車で逃げ、その車も近くで乗り捨てている。直後に警察が敷いた緊急配備の網もくぐり抜けて逃走しており、明らかに組織の意向を受けた周到な犯行だ」(捜査関係者)
そして事件は2日後の5日、6代目山口組の2次団体「3代目司興業」幹部の藤村卓也容疑者(52)が尼崎南警察署に出頭し、殺人未遂容疑で逮捕されるという展開を見せる。
「前日までに山口組側から兵庫県警に実行犯を出頭させるという連絡が内々にあったようだ。出頭させることで、組としての姿勢を示す犯行声明的な意味も持たせることができるからな。しかし実際に出頭したのは1人だった上に、道具(拳銃)も持っていなかった。警察としてはあてが外れ『もう1人はどうしたんや』と怒鳴り散らしたらしい。結局2人目は出てこず、県警はそっちの方をより重要人物ではないかとみて必死に行方を追っている」(暴力団関係者)
結局、藤村容疑者は逮捕3日後に拳銃を捨てた場所を供述。兵庫県警は大慌てで神戸市長田区の新湊川を捜索し、8日深夜になって川の中から回転式の拳銃1丁を見つけた。11日には同じ司興業幹部の加藤伸治容疑者(54)も尼崎南警察署に出頭。事件発生から1週間余りで実行役2人の逮捕にこぎ着けた兵庫県警だが、この時も前日から「出頭打診」の情報が飛び交い、捜査側は振り回されることになった。
「司忍組長の出身団体が実行役を出した」ことの意味
そんな中、実行役の所属団体に注目するのは山口組系の元組員だ。
「司興業は山口組の司忍組長(78)の出身団体で、今も中枢の傘下組織。そこが実行役を出したのであれば、いよいよ山口組を挙げて神戸山口組を叩き潰すという意思表明にも見える。山口組の強硬姿勢は2019年10月に刑務所を出所した高山清司若頭(73)の主導という見方が強かったが、今回の事件はそれ以上であることを意味するのかもしれない」