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2020/11/13

source : 文藝春秋 digital

genre : ニュース, 社会, 政治

いわゆる戦前回帰の問題ではない

 したがって、これはいわゆる戦前回帰の問題ではない。むしろ戦後75年の間、なぜこういうときに市民が守ってくれる状況を作れなかったのか、という問題だ。ここを真剣に考えなければ、かつての公務員バッシングのようなことが、今後アカデミズムにたいして行われる可能性もなしとしない。

 このように学術会議の問題は、一朝一夕に解決するものではない。もちろん、「反スガ」運動も、抗議活動も、やめろというつもりは毛頭ない。好きにやればよろしい。ただ、「水を差すな」といわれ、沈黙を強いられる筋合いもない。

©文藝春秋

 アジア太平洋戦争のとき、彼我の国力を比較して、日本の敗戦不可避と予想したとしよう。それは日本が負けていいと主張していることと、かならずしもイコールではなかったはずだ。これにたいして「非国民」「士気を下げる」「敗北主義」と非難を浴びせかけるのは、同調圧力や精神主義にほかならない。

 ここで述べたこともこれに尽きる。いつものように、「どっちもどっち論」や「冷笑主義」という批判は、現実を見えなくするという意味で有害でしかないのである。

 辻田真佐憲さんの連載「〈視聴覚〉のニッポン考」は、「文藝春秋digital」に掲載されています。

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