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コツは「共通の話題を探る」ではなく……一流の雑談テクニックとは

『雑談の一流、二流、三流』(桐生稔 著)――ベストセラー解剖

2020/11/18
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『雑談の一流、二流、三流』(桐生稔 著)明日香出版社

「接客」「営業」「リーダー」「投資」など、さまざまなテーマの「一流」の振る舞いを、二流・三流との対比でわかりやすく示す人気シリーズの、「雑談」をテーマにした本が好調だ。元営業マンの著者は、もともと極度の人見知りで顧客と上手く話せず、左遷されてしまったほど。だが雑談の工夫を重ねることで、営業成績が急上昇。現在は起業し、培ったコミュニケーションスキルを教えるセミナーの講師業で成功している。

「著者と初めてお会いしたとき、実際に雑談が盛り上がったんですね。理論だけではないことが実体験としてわかったのが、執筆をお願いした理由でした」(担当編集者の久松圭祐さん)

 ヒットのきっかけは、人気お笑いコンビ・オリエンタルラジオの中田敦彦がYouTubeで激賞したこと。共通の話題を探るのではなく、〈相違点を探して距離を縮める〉といった、類書とは一味違う視点が、話芸のプロにも響いたようだ。

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 読者の男女比は半々。テーマの普遍性がうかがえる。

「雑談は、仕事でもデートでも、家族間のやりとりでも重要な、永遠のテーマ。コロナの状況下でリモートワークが増え、さらに大切だと認知されたように感じています。内容を実践しやすくすることを強く意識して編集したので、『本当に会話が盛り上がりました』という反響が多いのは、うれしいですね」(久松さん)

2020年3月発売。初版5000部。現在82刷8万2000部

雑談の一流、二流、三流 (アスカビジネス)

桐生 稔

明日香出版社

2020年3月5日 発売

コツは「共通の話題を探る」ではなく……一流の雑談テクニックとは

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