ソニーや本田技研を始め、数々の大企業で採用されているFFS理論。環境や刺激に対する人間の反応を5つの因子によって計量化し、自己や他者を理解するのに役立てる。その理論を人気マンガ『宇宙兄弟』をケーススタディとして解説した本が、好調な売れ行きだ。
「初動は『宇宙兄弟』ファンの熱量に支えられました。次は就活生ですね。SNSで大きな反響があり、その声を聞いて、就活に利用するためのアドバイスを著者にウェブで連載してもらったんです。それで売れ行きが再加速しました」(担当編集者の山中浩之さん)
ビジネス本の読者は男性が中心。しかし本書の読者の男女比はほぼ半々。『宇宙兄弟』は女性ファンの多い作品だが、理由はそれだけではないだろう。
「女性の方が、自分の強みをよりシビアに考えているように感じますね。社会ではいまだに男性が多数派を占める場が多く、その中でしっかりと立ち回るために、自分の強みを的確に把握したいと考える女性が多いのでは」(山中さん)
そして、本書にはもうひとつ、裏テーマがある。
「12年以上続く連載ですから、なんとなく追わなくなった元読者もいるでしょう。『宇宙兄弟』愛が溢れる本文に、内容に即したコマを大量に引用することで、そんな方々がもう一度読むきっかけにと考えました。著者も私もマンガ好きなもので(笑)」(山中さん)
2020年6月発売。初版8000部。現在8刷10万部