「森且行がオートレースの日本選手権で初優勝」というニュースは大きな話題になった。
森は2000年にオートレース界の最上位である「S級」にランクイン。以来、苦節20年。「日本選手権で初めて優勝する年齢」として、46歳は史上最年長だ。大きくオートレースの歴史を塗り替えたことになる。
そして何より、森は元SMAPである。「卒業」してから24年間が経とうとも、いまだに彼を語る時にはSMAPの名前がついてまわる。
その森が日本最高峰のレースで優勝した意味をあらためて解きほぐしたい。
当初は「何を考えてるんだろうね」と厳しい声も
「嬉しい。そのひとことです」
森の優勝について、あるスポーツ紙記者は感情をあらわにする。氏はもともと芸能を担当していたが、のちにスポーツをカバーするようになった経歴を持つ。
「あのときは、誰もがびっくりしたと思います」
1996年の“SMAP卒業&オートレース転向"を芸能記者として目撃した氏は、まるで昨日のことのようにその衝撃を語る。
「SMAPの結成は1988年。でもすぐに人気が出たわけではない。CDはそんなに売れなかったし、トップアイドルになるようなグループとは思えなかった。それでもバラエティなど過去のジャニーズアイドルがあまりやらなかった分野に進出しながら、国民的な知名度、人気を獲得していきました」
SMAPの躍進にとって欠かすことのできない転機が、1996年4月に始まった『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)である。「月9」直後の10時スタートという最高の時間帯で大々的に始まった冠番組。しかし森がSMAPを脱退したのは、その開始から1カ月後のことだった。
「人気も上向いて、自分たちの番組を持った矢先にやめると言ったんです。当時はインターネットもそこまで発達しておらず、まさにテレビ1強の時代。周囲は驚いたというか、本当に理解できないといった感じでした。業界的にも、育ててもらって今から事務所に恩返しという時期でしたから、『何を考えてるんだろうね』と厳しい声も聞きました」
それでも、森は意志を曲げずにオートレースの世界へ転身する。