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東京03は、そこに立っているだけで「なんか面白くなりそう」

 東京03の皆さんは、本当にコントの達人ですから、もはやそこに立っているだけで、「なんか面白くなりそう」という雰囲気が生まれます。後できっと面白いことが起こると思えるから、いわゆるフリ(コントの設定を説明する前半部分)を待てるわけで、この雰囲気を出してもらえるということがディレクターにとっていかにありがたいか。

コント「袋、いりません」 提供:NHK

 僕は東京03のコントをシャビとかイニエスタがいた頃のバルセロナのサッカーみたいだなと思っていて、「そんなところにパスコースあったんだ」というのを見つけるのが本当に上手で、ずっと見ていたい感覚にさせられます。“間”だけで笑わせたり、一見何気ない技術をさらっと披露するので、凄さが分かりにくいんです。でも、真似しようと思ってもできない技術のオンパレードで、まさにイニエスタです。『半沢直樹』での角田さんを観ていてもそう感じました。

コント「ステイホームで覚えたラーメン」 提供:NHK

 たけしさんとは収録までに3~4回の打ち合わせを重ね、どんなコントにするか決めてきました。とにかくいい設定が出るまで、お付き合いいただいています。収録当日も撮影時間のギリギリまで台本の文言を直す作業は続きます。そのぐらい、一つの笑いも取りこぼさないようにする姿勢を持たれているからこそ、これだけの長い期間、第一線で活躍されているのだと思います。

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コントはわずかなことで面白さが削がれてしまう繊細なジャンル

「コントの日」のためにどんなコントを撮るか、5人の作家の皆さんとネタ出しをしながら、決めていきます。ネタ出しで、「これは!」というものが出てきたときが、実は逆に要注意です。というのも、ネタをプロットにしてさらに台本にしていく過程で、その面白さが失われていく可能性が大いにあるからです。台本を作っていると、ほぼ毎回と言っていいほど、「あれ? これの何が面白いんだっけ?」という迷路に迷い込みます。そのときに“立ち戻れる場所”がないと、コントは永遠に完成しません。

コント「ブルートパーズ」 提供:NHK

 だからいいネタが出たときは、どこが面白いと思ったか、会議のどんな流れで出てきたネタなのか、克明にメモを取ります。コントは、わずかなことで面白さが削がれてしまう繊細なジャンルです。「いやーこれ面白いね! あとよろしく!」みたいな感じのテレビマンのノリだとうまくいかない。