年に一度、生粋のコント師がNHKに集結してお茶の間に笑いを届ける、それが「コントの日」。ビートたけし座長のもとに、劇団ひとり、東京03、ロッチ、ロバート秋山……錚々たる芸人たちが集い、ときに世の中に鋭く切り込みながらコントで今の笑いを表現する。初年度からこの“祭り”に参加し、なくてはならない存在となっている劇団ひとり。ビートたけしに憧れて芸人を目指した異能の人は、「コントの日」にどんな夢を見ているのか。(全2回の1回目/#2へ続く)

劇団ひとりさん

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今の「世の中」を取り入れてて、シニカルにエッジを利かせてる

――テレビでコント番組が成立しづらい中、11月23日放送の「コントの日」は劇団ひとりさんにとってどういう存在なのか、どういう意味がある番組なのか。今日はお伺いできればと思っています。

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劇団ひとり(以下、ひとり) 今年で3回目なんですけど、自分の中ではちょっと年中行事化してきて。「あ、来たか、『コントの日』の時期が」って、そういう感覚になれたことがすごいうれしかったですね。甘い考えかもしれないけど、ずっと続いていくんじゃないかなっていう気もしています。NHKさんも本当に力を入れて『コントの日』を愛してくれてるから。

コント「コメンテーター」でMC役を演じる劇団ひとりさん

――「コントの日」のコントは、最初に見た時と、もう一回見返した時と、また新たな発見があるのが面白いですよね。実は社会状況を皮肉っていたり、風刺が効いていたりする。

ひとり よく気が付きましたね(笑)。ほんとにそうなんですよ。始まった当初から、ただ面白きゃいいとか、そういうのとはちょっと違うんですよね。必ず今の「世の中」を取り入れてて、シニカルにエッジを利かせてる。かなり高尚なものをやろうとしてますよ、いつも。ネタを作ってる方々は「どうやったら面白いコントができるだろう」の前に、必ず一個「世の中」を入れるというのを枷にされてるんじゃないですかね。

コメンテーターは「結局誰でもできんじゃねえの?」

――今までの作品の中で、特にそれを感じたコントは?

ひとり 僕は出てないけど、例えば「食パン」のコント。何でもない食パンをそれっぽい包装に入れてそれっぽい名前を付けて高く売りつけるっていうコントです。僕ら消費者が踊らされてるってそういうことだよな、みたいな。ちょっとハッとする。

 

――確かに。

ひとり 今回なんかは、『コメンテーター』っていうネタがあって、ネタばらしにならない程度に言うと、結局コメンテーターなんか誰でもできるんじゃないの? みたいな。それって、何なら僕ら演者にもその矛先が向いている。芸人も偉そうな顔してテレビで政治がどうだとか語ったりしてますけど、「結局誰でもできんじゃねえの?」って。まあ、僕らっていうか(カンニング)竹山さんにですけどね(笑)。