コロナ禍、多くのエンターテインメントに関わる人間が、自分の生き方に向き合わざるを得なくなった。この世界の成功へ導くものは、才能なのか努力なのか、それとも……。「いつのたれ死んでもおかしくなかった」という若手時代を経て、芸人、作家、映画監督……現在多方面で活躍する劇団ひとり。そしてテレビでは朝から晩まで時間帯分け隔てなく活躍できる有能なタレントでもある。今劇団ひとりが仕事に対して思うこととは。「本当の劇団ひとり」はどこにいる?(全2回の2回目/#1から続く)
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春先からネタ打ち合わせを始める「コントの日」
――11月23日放送のNHK「コントの日」、スタッフさんとはどんな打ち合わせをされているんですか?
ひとり 毎回結構丁寧にやってます。収録が始まる数日前に台本を持ってきて、「今年はこんなコントをやろうと思います。どう思いますか?」と意見を交換して。今日もリハやって、「この部分はこうしたらどうですか?」ってスタッフに提案したら、思いっきり却下されました。
――却下(笑)。
ひとり はい。ちゃんと却下もしてくれる、いいスタッフだと思います。信頼できる(笑)。
――演者もスタッフも対等なんですね。
ひとり はい。大事なことだと思いますよ。そもそもここのスタッフさんは春先ぐらいからネタ打ち合わせを始めてるんです。
――早い!
ひとり それぐらいの時期からちょっとずつ会議して、「今年どんなネタやろうか」って。そこまで練られたものを持ってこられているんだから「このコントできません」とは言えない。本当に磨きあがったものですからね。頭が下がりますよ。初年度にやった15秒ぐらいのジャンクション、僕がいろんな扮装をしてCMのパロディをやったんですけど、まあ本当に何日もいろんなところにロケに行ったり、スタジオでやったり。「15秒のやつだからサクッと撮りましょう」というようなことはなく、ちゃんとどのネタも同じぐらいのクオリティーのセットや衣装でやらせてもらいました。手を抜いているところは1個も見たことない。
――コロナの影響はいかがですか?
ひとり 僕も今年はさすがにできないんじゃないかなとは思っていたんですが、ちゃんとNHKのガイドラインに沿ってできると聞いた時は、すごくうれしかったです。ネタも、別にそこまでコロナ、コロナというわけじゃなく、かといって完全になかったことにするわけでもなく、そこら辺いい塩梅だと思います。