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劇団ひとり43歳「ギャンブルで負けて、サラ金で借金200万…」が売れっ子芸人に“起死回生”するまで

NHK「コントの日」劇団ひとりさんインタビュー #2

2020/11/23

source : 文藝春秋 digital

genre : エンタメ, 芸能, テレビ・ラジオ

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本当の自分って、一番つまんない自分ですね

――ひとりさんは何をしている時が一番「自分だな」と思いますか?

ひとり そうですね……3Dプリンターをいじったり、バイクをいじったり、ものを作ってる時っていうのは、何も考えないですからね。平気で5時間6時間経ったりするから。たぶんあれが一番、素。本当の自分って、もう誰か目の前にいたら本当の自分じゃないような気がしていて。

 

――ああ、なるほど。

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ひとり 一人じゃないと、やっぱり本当の自分にはなれなくて。奥さんに対してだって、子どもに対してだって、本当の自分かと言われちゃうと、そうじゃないような気もする。子どもに対しては立派な父親を演じているような気がするし。本当の自分でいったら飯作るのめんどくさいんだけど、立派な父親でいようと思うからご飯を作ってあげられる。

――無理に演じているわけではないけど、誰かを対面にすると「素」ではなくなりますよね。

ひとり いろんな顔がある。だから、本当の自分って、一番つまんない自分ですね。そして、一番つまんない自分は、たぶん物を作っている時の自分かもしれない。何も考えない、誰にも気を使わないし、目の前のことしか考えないから。

――でも、その時間は必要であると。

ひとり そういう時間がないと、ちょっとうんざりしちゃうかもしれないね。

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――昔みたいにギャンブルしたいとは思いませんか?

ひとり 不思議ですね。ああいうのって余裕ができるとしなくなるんですね。だって本当に大好きだったんですよ。1000円しかなくて飯食べれないのに、その1000円を賭けてパチンコをやってたりしたから。不思議なんですよね。ただ、実は宝くじだけは買い続けてるんですよ。全然当たってはいないんですけど。

――芸能界という一番難しい宝くじを当てていらっしゃるから。

ひとり たけしさん言ってましたね。ギャンブルは絶対やらないって。そこで運を使うのが嫌だからって。萩本欽一さんも、何かいいことがあった人は外すって言ってましたからね、作家とかで。そこで運を使っちゃってるって。

――人生プラマイゼロな考え方。

ひとり そういう先人たちのアドバイスも無視して、僕はサマージャンボと年末ジャンボ。これだけは買い続けます。まあ収益はいろんないいことに使われてますから。

 

写真=榎本麻美/文藝春秋

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