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劇団ひとり43歳「ギャンブルで負けて、サラ金で借金200万…」が売れっ子芸人に“起死回生”するまで

NHK「コントの日」劇団ひとりさんインタビュー #2

2020/11/23

source : 文藝春秋 digital

genre : エンタメ, 芸能, テレビ・ラジオ

note

ひとり たまたま番組に出会えなかったり、人に出会えなかったということだけであって、かなり運の要素が強い、この世界は。みんな売れてから「こんな努力をしました」って言うけど、みんな努力してますからね。才能だってちょっとした差だけだと思ってるんですよ。僕なんかよりも腕あるやつはいっぱいいます。それをたまたま、何か分からないけど、神様に選んでいただいて。しかもたぶん無作為に選んだんですよ。だってちゃんと選んだんだったら、こんな金借りてまでヘルスとか行かないちゃんとしたやつを選ぶでしょう。

――徳を積んでいる人を。

ひとり そうそう。

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――朝はヘルスじゃなくてゴミを拾ったりする人を。

ひとり そう(笑)。たまたま僕が選んでいただいただけであって、本当に感謝感謝ですよ。だから、当然これを失うのは怖いけど、もう十分っちゃ十分。僕からしたら上出来なんで。いつでも覚悟はできてますけどね。いつでも文春来いと思ってますから(笑)。いや、嘘です。今のは嘘です。今のは本当に嘘です。

――(笑)。そう考えると、空気階段の鈴木もぐらさんが経済番組でお話しされてる……という未来も、あるかもしれない。

ひとり そうですよ。だって、僕が小説書いたりしてね。えらい売れたんですよ、あれ。100万部とか。世の中どうかしてたと思いますよ。

東京03、バナナマンも「才能あるのに世に出れない人たち」だった

――やっぱり“才能”の側面が大きいのでは。

ひとり 才能もありますよ、当然(笑)。それはね、ないとは言わないけど、でもそれぐらいの才能あるやつはいっぱいいるっていうことです。

 実際この世界に入ってくるのは、当たり前だけども、クラスや学校で一番面白かった連中。それが全国から来ますからね。そこで10年20年しのぎを削ってるやつらは、その中でも選ばれし者なわけです。だから、才能はほとんど一緒だと僕は思ってます。その最初に選ばれるというのは、やっぱり運。だって、芸能界なんて人様に比べたらずいぶん高いお給金をもらえるわけですから。一獲千金の世界、それを分かってやってるんだろうけど、やっぱり不平等な世界だなとは思います。

この日収録したコント「コメンテーター」を出演キャストが揃って確認する

――なるほど。

ひとり だって、東京03だってここ数年でバーッと出てきたけれども、僕らからすると、今言ってた人たちの代表ですよ。才能あるのに世に出れない人たち、ほんの数年前までは03がその当事者でしたからね。「あんなに才能があって面白いコントをやってるのに、なんで出れないんだろうね」って言われる人たちだった。ああいう人たちがゴロゴロいたし。バナナマンだってそう。だから、今も苦しんでるけども、数年後には世に出てるやつがたぶんいると思うんですよ。選ばれ待ちっていう感じですよね。