“心霊ドキュメンタリー”というジャンルがある。
視聴者から寄せられた“霊を収めた投稿映像”や、その映像の一部をディレクターたちが取材するという構成が主流のホラービデオ作品の通称だ。「おわかりいただけただろうか……?」といったキャッチフレーズと、リプレイ映像でご存知の方もいるだろう。
そんなジャンルで今“祭り”が起きているのだ。
映画監督の寺内康太郎が、CSチャンネルのエンタメ~テレとタッグを組んだ連続ドラマ『心霊マスターテープ』は、2020年1月11日に放送が始まるや、メーカーの垣根を超えて同ジャンルの人気ディレクターたちが集結する内容で人気を博した。
その見所は、『Not Found -ネットから削除された禁断動画-』、『心霊玉手匣』、『ほんとうに映った! 監死カメラ』、『心霊×カルト×アウトロー』、『心霊盂蘭盆』などの有数タイトルに登場するディレクター陣の大集結だろう。また、その記念碑的な感動もさることながら、自分の好きな作品を入り口に本作に入れる構成も巧みであり、物語自体も“怪異は時代もメディアも超えて存在し続ける”という、恐ろしく、かつファンに寄り添うような着地で感動を呼んだ。
同ジャンルファンにとっては“心霊版アベンジャーズ”のような作品だったのだ。
そんな話題作の第2弾が、2020年の12月12日から放送開始される。そこで仕掛け人である寺内監督に、制作の裏側について伺った。
(取材・構成 TND幽介〈A4studio〉)
『心霊マスターテープ』は寺内監督を業界に繋ぎとめた奇跡の一作
――2020年の1月から放送された第1弾『心霊マスターテープ』ですが、どんな経緯で制作しようと思われたのですか。
寺内 はじまりは2018年頃に、漠然と心霊ドキュメンタリーの監督を集めて何かしたいと思いついたことです。実はこの頃、作ってきた心霊作品の打ち切りが相次ぎ、歯痒い想いを抱いていました。正直、このまま心霊業界とはお別れか……との考えもよぎっていて、遺言的な意味合いで“心霊のおもしろさ”を伝える本作を撮ろうと思ったんです。当初は映画として本作を進めていたのですが、相談していたメーカーの担当者さんが替わってしまい、事実上『心霊マスターテープ』の企画はお蔵入りになってしまったんです。