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「芸人やってた10年間が一瞬で霞みました」 歌でバズった若手芸人が感じる“特技”と“笑い”の境界線

芸人・パーパー ほしのディスコインタビュー#1

note

「歌がメインになったら、今までのキャリアはどうなるんだろう」

――カバーされたクリープハイプの尾崎世界観さんも《上手いんですよ、才能ですね。ギャップにやられます》と言っていますね。もともと歌には自信があったんですか。

©️文藝春秋

ほしの 一緒に芸人たちとカラオケとか行くと、「上手いですね!」と言ってもらうことはありました。ただ、こういう業界だとプロの歌手の方とかも身近にいるじゃないですか。

 僕はずっとクリープハイプの大ファンで、キングオブコントの決勝でもクリープハイプのTシャツを着て挑んだくらいで。そうなると、「やっぱりそういうレベルじゃないと人に見せられないよなぁ…」と思っていたので、自分から「テレビで歌ってみたい」とかはなかったですね。

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――もともとコントでは女の子にいじめられる気弱な青年のネタをやることが多いですし、「有吉の壁」でも相方にボコボコにされていますよね。

 急にネタとは180度違う方向から話題を呼んだというのは、ちょっと違和感もあるのでは?

ほしの そうなんです。だから、やっぱりちょっと複雑な気持ちはありますね。「芸人である」というのが大前提にあるので…。もちろん歌の仕事といっても、あくまで歌ネタとかお笑いに関するものなんですけど、ちょっといままでやってきたお笑いとはスタンスが変わるので。

 このまま歌ネタがメインになって行っちゃったら、今までのキャリアがどうなっちゃうんだろうという不安はいまもあります。

©️文藝春秋

――これまでやってきたキャラクターと、評価されている歌唱力の両立が難しい?

パーパー『きらきらパチパチしゅわしゅわ

ほしの いや、本当にそうなんですよね。なんかネタも前よりウケにくくなっているというか。やっぱり僕の“気持ち悪さ”みたいな部分を前面に出すネタが多かったので、そういうのはちょっと違って見えてきちゃっているのかなぁとかは思います。

 アインシュタインの稲田さんとかも言っていたんですけど、何やっても前までは「気持ち悪い」と笑いになっていたのが、人気が出るにつれて最近だと「かわいい」になってきていると(笑)。なんかもう笑いにならないというか…。そういうところは難しいなぁと思います。

――ネタ番組では「生まれ変わったらボイトレして歌手になりたい」とも言っていましたが(笑)。

ほしの まぁ半分本音もあります(笑)。歌手になりたいと思ったことも本当にあったんですよ。だからいま、こういう状況になったのはうれしいんですけどね。