2020年10月23日から、小林直己さん(36)によるエッセイ、「EXILEになれなくて」が文藝春秋digitalで始まった。 EXILEのメンバー、そして三代目 J SOUL BROTHERSのリーダーとして活動している小林直己さんの、初の自伝的エッセイだ。2009年のEXILE加入、その後発生した東日本大震災から、2020年のコロナ禍というできごとを、小林直己さんはどう乗り越えてきたのか。三代目 J SOUL BROTHERSの活動10周年を迎えた今年、執筆を始めた理由について、話を聞いた。

©️杉山拓也/文藝春秋

10年以上活動しているのに、どうしてこのタイトルに?

――「EXILEになれなくて」という連載を始めようと思ったのは、どうしてですか?

小林 初めは自分の10年間の活動を改めて振り返りたい、LDHやグループの活動を広めたいという思いがありました。しかし、コロナ禍を経て、自分がこれからできることは何か、未来に向かってゼロベースで改めて考えたいという思いが強くなったのが正直な気持ちです。

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――タイトルの「EXILEになれなくて」に疑問を持った人も多いと思います。直己さんはEXILEとして10年以上活動しているのに、どうしてこのタイトルにしたのでしょうか。

小林 僕は、AKIRAと出会ったことでEXILEを深く知り、その世界に憧れをいだきました。そして、そのことが様々なことに挑戦する勇気をくれました。その過程を描きたかったんです。

 ただ、のちに、一つのものにすがっているだけでは、自分が明確にならないということにも気が付きました。皆さんが知っている「EXILE」という名前に対して、自分自身どう立ち振る舞い、どう生きるべきか、考えました。それが、連載1回目の冒頭の「EXILEになれなくて、僕は道を探し続けた」という言葉につながりました。

©️杉山拓也/文藝春秋

 そして、「EXILEになれなくて…」の先にある答えを、僕自身も連載を通して探しています。今、分量でいうとだいたい1/3ぐらいまで書いているのですが、書き始めた当初と比べても、既に答えは変わっていますね。闇の中での肌触りというか、自分の感覚を信じて、そこにたどり着きたいなと思っています。