文春オンライン
「ぜひマーベル映画に!」と米誌に絶賛された EXILE/三代目JSB・小林直己は哲学専攻の「文科系」

「ぜひマーベル映画に!」と米誌に絶賛された EXILE/三代目JSB・小林直己は哲学専攻の「文科系」

note

「ナオキ・コバヤシは大きな発見だ」「今後さらに大きな役をハリウッドで掴めるだろう。おい、マーベル、聞いてるか?」

 米VARIETY誌に異例の大賛辞を贈られた鮮烈なハリウッドデビューだ。

 EXILEのパフォーマーで三代目J SOUL BROTHERSリーダーの小林直己さんが出演する映画『アースクエイクバード』が11月15日からNetflixで世界同時配信される。

ADVERTISEMENT

小林直己さん

 舞台は1989年の東京。英国人女性ルーシーは友人のリリーを殺害した容疑をかけられる。小林さんは二人の女性を翻弄するミステリアスなカメラマン禎司(ていじ)役にオーディションで抜擢された。

 原作は日本在住経験のあるスザンナ・ジョーンズによる同名の英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作だが、スタッフやキャストの顔ぶれがまた凄い。製作総指揮は『ブレードランナー』『エイリアン』『ブラック・レイン』の巨匠リドリー・スコット、ルーシー役は『リリーのすべて』のオスカー女優アリシア・ヴィキャンデル、リリー役は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のライリー・キーオ、監督は『コレット』のウオッシュ・ウエストモアランド、プロダクションデザイナーは『キル・ビル』の種田陽平、カメラマンは『オールドボーイ』のチョン・ジョンフン。Netflixといえば、『ROMA/ローマ』が今年度のアカデミー賞を受賞するなど本格的な映画への参入が話題になっているが、錚々たる布陣による大作だ。

 しかし、華やかなサクセスストーリーの陰には、「自分は何でグループに貢献できるのか」と自分の存在意義に疑問を抱いた経験があったという。「体育会系」のイメージが強いLDHきっての「文科系」「頭脳派」は、いかにして今回のビッグチャンスをつかんだのだろうか。

◆ ◆ ◆

――小林さんが演じられたカメラマンの禎司は、物語の謎を象徴し、ストーリーの核を握る重要な人物です。キャスティングが長い間難航していたそうですが、ウエストモアランド監督は「ナオキを見て一目で『彼だ』と直感した」と語っていますね。

小林 2017年にオーディションを受けたのですが、どうしても、この禎司という役を自分でやりたかったんです。脚本を初めて読んだときから、禎司の内面に強い共感を覚えました。彼は無口で、あまり自分の心を他人に見せません。彼にとってのカメラは鎧であり、窓でもあったと思います。今、撮影を終えて振り返ってみると、禎司という役を作っていくことは、自分の向き合いたくなかった過去と向き合う必要性もあり、タフな経験ではありましたが、役者としても人間としても成長させてもらったなと思っています。

 共演者のアリシアからも「寛大で紳士的」と言われるほど、普段の小林さんは明朗で誰にでも優しく謙虚だが、ウエストモアランド監督は「彼は、激しさ、複雑さ、闇……いろいろな要素を持っていて“スター・パワー”がある」と語る。心というミステリーの深淵を覗き込む本作を観る者は、やがて「どこか、何かがおかしい」という奇妙な感覚に包まれていく。