――哲学者の千葉雅也さんとの対談(『文學界』12月号)では、連載について「EXILEという身体を学んだ12年間の(精神的な)卒論」と表現されていました。連載の構成は、もう決まっているのですか?
小林 最初から頭の中で書きたい内容は決まってるんですが、実際のところは締め切りに追われてますね(笑)。一応、早めに書き上げているんですけれど、書き終わったら1週間くらい寝かせるんです。すると、新たに直したい所が出てくる。あと、僕は細かいことに執着しすぎるので、時間をおいて消えている感覚は捨てていいと思って削ったりしています。
自分にとって書くことは、「自問自答すること」
――執筆はどんな風に進めていますか。
小林 夜とか朝とか時間を決めずに、いつでも書いています。やる気が出ないときも正直に言うとあるんですけど(笑)、そういうときは無理をせずに一晩おきます。
――迷ったり筆が止まったりすることは?
小林 自分が感じているものを表現に落とす上で迷うことはあるんですけど、“書くことがない!”と筆が止まることはないです。
――執筆の場所はどこが多いですか?
小林 家で、音楽もかけずに静かに書いていることが多いですね。実は、自粛期間の最中に、内装やインテリアの模様替えにハマったんです。それでこの前、良い椅子を買いました。
――今後、小説やフィクションを書くことにも興味はありますか?
小林 うーん、ゼロから世界を作るということは、まだ想像できない範囲ですね。まずは、この連載に全力で取り組みます。
――ダンスと執筆は、表現手段としてどんな違いがありますか?
小林 自分にとって書くことは、「自問自答すること」ですね。書くときは何度も推敲して、自分が表現したい核に近いものを出せます。ダンスは、ハプニングというか、思っていることをストレートに伝える。体が邪魔をしたり、技術が足りなくて悔しい思いをしたりするんですけど、調理されていない生の感情を出しています。
――最後に、読者にメッセージをお願いします。
小林 今まで文章になじみがなかった人には、表現が硬く感じる部分があるかもしれません。でも、今後は僕から見たグループや、メンバーのカラーなども描くので、知った言葉も出てくるかな、と(笑)。だから、気楽に読んでほしいです。そして、“今”を書いた文章なので、きっと皆さんそれぞれに、感じていただける部分があると思います。
◆連載「EXILEになれなくて」は文藝春秋digitalにて、毎週金曜日、18時に公開予定です。
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