いったん発見されてしまえば、男性たちがどれほど「自分はスカウトではない」「スカウトのことは知らない」と説明しても納得してもらえない。暴力に怯える、緊張する日々がしばらく続いた。
スカウトたちが姿を消したのは新型コロナウイルスの感染拡大の時期とも重なり、歌舞伎町の街頭は一時期、より一層、閑散とした。
歌舞伎町からホストが消えた
ライバルグループから優秀なスカウトの引き抜きを繰り返していたスカウトグループ「ナチュラル」の幹部が、「歌舞伎町の顔役」ともされる加藤連合会傘下組織に反抗的な態度を取ったことがスカウト狩りの騒動のきっかけだったことは、前編で紹介した。
暴力団側がメンツをつぶされたことで、歌舞伎町でスカウトを見つけては暴行を加えていく事件へと繋がっていったのだ。
歌舞伎町の飲食業界の女性が、スカウトの活動地域や区役所通からスカウト狩りが始まった事情を明かす。
「この街のスカウトは大きく3つのグループがあり、縄張りという訳ではないが、それぞれテリトリーが分けられている。問題の発端となったナチュラルは歌舞伎町の東側の『区役所通』が活動スペース。ほかに、歌舞伎町のほぼ中央の新宿東宝ビル(旧コマ劇場)から靖国通に面したドン・キホーテ新宿歌舞伎町店までの『セントラルロード』を主な活動地域とするグループと、新宿駅東口周辺を主とするグループに分けられている」
最初のスカウト狩りが行われたのはキャバクラやホストクラブなどが軒を連ねる区役所通だった。「この通りがナチュラルのスカウトたちの主な活動場所だったためではないか」(前出・飲食業界の女性)と推測する。
4日の深夜は区役所通が主なスカウト狩りのステージだったが、翌5日以降はさらに「戦線」が拡大していった。
「歌舞伎町にスカウトたちが戻ってきたのは、9月ごろではないか。10月に入り、ようやく以前の姿になった」(同前)