34歳で初出場した2012年の紅白歌合戦では、番組史上初となるアフリカからの生中継で出演。アフリカ南西部ナミビア共和国の、気温50度を超える砂漠から熱唱した。デビューから10年以上出ていなかったテレビへの出演を決めた陰には、MISIAのライフワークともいえるチャリティ活動への熱意があった。
「今年で紅白出場は5度目ですが、彼女の音楽人生の中で2012年の紅白初出場は一大転機でした。MISIAさんは両親と兄、姉が医師という家庭で育ったこともあって、チャリティの意識がとても強い。2010年に社会貢献の受け皿となる一般財団法人『mudef』を立ち上げて以来、自らも理事として世界の子供たちや医療従事者の支援活動を続けています。2012年はアフリカ開発会議のオフィシャルサポーターになった年でもある。紅白に出場を決めたのも、自分の歌がテレビで多くの人に届くことで、支援の輪が少しでも広がればと考えたからだそうです」(同前)
紅白で見せた衝撃のレインボーフラッグ
2019年の紅白のステージでも、MISIAが歌う際の演出に性的マイノリティであるLGBTQを象徴するレインボーフラッグが使われ、話題になった。MISIAはTBSラジオでも「LOVE RAINBOW TRAIN」というLGBTコミュニティ文化を発信する番組を持っているが、視聴率が40%近い紅白歌合戦のインパクトは桁が違う。
「MISIAさんは社会問題への意識が強く、国による格差も、障害を持った人々も、性的な多様性についても、なんとか力になりたいと普段から話しています。今回のTBSの企画も、彼女が『スペシャルオリンピックス』という知的障害者のスポーツ活動を2014年から応援していることで実現したもの。11月にリリースしたアルバムも『こんなコロナの世の中だから、利益より子供たちを少しでも笑顔にしてあげられる作品ができたらいいよね』と売り上げの一部を寄付することを決めています。
なので落馬事故があった後も、それで放送が無くなってしまえばスペシャルオリンピックスを人々に知ってもらう機会が失われると、そちらの心配をしていたそう。紅白でも昨年のレインボーフラッグのような、革新的な演出を準備していたはずです」(同前)