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かっぴー 漫画コンテンツって広告に起用されると、広告に使われてるイメージになりがちなんですよね。でも『左ききのエレン』は広告代理店を舞台にした漫画だから、読者も「おっ、JINSの広告作ったんだ!」って、コラボレーションそのものに盛り上がってくれた。結果的に『エレン』の広告にもなったし、関わった全員ハッピーになるすごく珍しい案件だったと思います。

三浦 そういってもらえてすごく嬉しいです。周りからはいろいろトラブルがあって大変だったでしょうと言われたんですが、トラブルってある意味、言葉の定義の問題なんですよね。たしかに予算はすごく限られていた。この時点ですぐトラブルと言って「そんなの断っちゃえよ」とか「仕事でひどい目に遭ってさ」という人もいるでしょう。

 でも僕からしたら、そこで思考停止するからトラブルになるだけで、一瞬うまくいかない瞬間があっても、アイデアで切り抜ければいいんですよ。

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かっぴー めちゃくちゃいい話ですね。

三浦 アイデアは問題解決のための武器だから、その思考を途切れさせなければ意外にたいていのことはトラブルにならないんです。

かっぴー いい話だなぁ。一点あの広告でかわいいトラブル!?  というか思い出は、絵の直しが入ったこと。僕はいつもストーリーに関してはご納得いただけなければ直すんですが、絵に関しては修正しないことを先に了承してもらっています。今回JINSの社長が登場したんですけど、社長のメガネが違うというのでそこだけ直した。

三浦 絵を直さない方針は、友人としてもクリエーターとしてもファンとしてもよくわかっていたから、どうお伝えしようか社内会議しましたよ。最終的には「すみません」と直球で投げましたが。

かっぴー これが飲料メーカーの社長のメガネが違うとかだったら関係ないぞって思うけど、メガネメーカーの社長だったから。漫画家になって初めて絵を直しました(笑)。

 

 ちょっと予算のことに話を戻すと、後輩から「いい仕事だったらギャラなくてもやりたい」みたいなことを言われるんですよ。

三浦 どういうこと?

かっぴー 名誉な仕事、つまりサントリーとか朝日新聞とか、有名企業の仕事だったらギャラなくてもやりたいですって。でも、ホントにいい仕事はギャラがきちんとしてて高いんですよね。チャンスっぽい顔して仕事が来た、でもめちゃくちゃ安いときって僕の経験ではたいてい事故る(笑)。