宰相として最も必要とされる幸運を持っている
逆に、安倍晋三さんというのはツキのある人です。ある意味で、人間的にはアレだし、娶った嫁もアレだけど、なんとなく周囲が仕事をできる状況に恵まれたり、困ったときには北朝鮮から何かが飛んできて、スキャンダルが大富豪でいう「場流れ」になって支持率が回復してしまうというあたりに宰相として最も必要とされる幸運を持っているように思うのであります。なんかツイてるんですよ、あの人。
共産党も書記長の志位和夫さんが出てきて「解散は究極の党利党略だ」とか言ってましたが、お前らだって6月16日に内閣不信任決議案出してたじゃん。むしろ「この流れを待ってました、喜んで受けて立つ」ぐらい言えばいいのに、どうしてこうなったのでしょう。
もっとも、安倍政権も北朝鮮だけを考えていたわけじゃないでしょうが、一昨年おおいにすったもんだして、あのときもおおいに内閣支持率を低迷させて「もうだめか」とまで思われた安保法案。逆に今回の北朝鮮有事も見ようによってはあの安保法案でやるべきことをやりきっておいたから日本なりにできることが増えたとも言えます。塞翁が馬というか、あの安保法案での議論があったお陰で「有事に安全保障をきちんと語れる安倍晋三首相」となり、北朝鮮のミサイルが飛んできて「ああ、大将が安倍ちゃんでよかった」と支持率が回復するというのは皮肉なものです。これが鳩山由紀夫さんとか村山富市さんなどだったら、どんな酷いことになっていたかを考えれば、これはもう「ミサイル解散」といってもおかしくない状況ではないかと思うわけであります。
民進党が共産党に振り回されるとき
一方で、冒頭にも述べましたが、まだ候補者も決まっていないところながら暫定的な票読みをすると意外に民進党は健闘しそうな勢いです。それだけ安倍ちゃんが嫌いという国民が意外と多いことが分かるわけですが、無党派層の掘り起こしは、国民が重要だと思う争点が明らかになってメディアみんなで盛り上がることと、自由民主党への批判票の受け皿となる野党が適切な候補者選びと政策主張を行うことが大事です。実のところ、野党が選挙協力で合意して候補者を一本化するだけで拾える選挙区が出てくることは分かりきっていることでもあるので、少なくとも民進党と共産党とで最低限の候補者一本化さえすれば与党の議席はそれなりに削れることになるんですよね。ただ、政策面まで擦り合わせるぞとなると、屋台骨が揺らいでいる民進党が共産党に振り回されることになるので、ここはもう新代表の前腹誠司さんの手腕がおおいに期待されるところです。