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富士通が22年度末までにオフィスを半減

 実際に私の会社がつきあっている大手企業の中には、契約満了時点で面積の縮小や拠点の集約による解約を考えている企業は多い。ただそのことをご親切にも現段階でビルオーナーに告知する会社は少数であるし、今後テレワークを続ける部署や社員数を見極めたり、景気の動向を注視して、今後のオフィス計画を考えるであろうから、何も1年や2年後のことを今決める必要もないのである。大手テナントの首脳が「今の段階ではオフィスを解約するかは考えていない」というのも当たり前と言えば当たり前の反応である。

※写真はイメージ ©️iStock.com

 だがいっぽうで、すでに新聞紙上等でも富士通が22年度末までにオフィスを半減させると発表、国内のグループ従業員8万人はテレワークを基本とし、オフィスの座席は全席フリーアドレスにするとしている。また日立製作所グループの日立オートモティブシステムズは大手町のオフィス4500平米を9月に半減させるなど具体的な動きも顕在化している。

コロナ後は景気のV字回復が起こる?

 コロナ後は景気のV字回復が起こるので再びオフィス需要が高まるという見方についてはどうだろうか。これまではオフィス需要は景気の動向に大きく左右されてきた。実態としては実際の景気動向に約半年程度遅れて変動するとも言われ、景気回復すれば戦略を見直し人員補強を実施するので、おおむね半年くらいでオフィス需要が顕在化すると言われているものだ。

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※写真はイメージ ©️iStock.com

 だが、今回については今後テレワークがどれだけ企業で定着するかにかかっているといえるだろう。テレワークは、最初はあくまでもコロナ禍において出社できないための臨時的な働き方として実施されてきた。だが実際には部門や職種によって、テレワークの方が生産性が上がることも確認され、今後も在宅や自宅近くのコワーキング施設で働き、都心の本社に通ってこないワーカーの数は増えそうだ。

 私の会社の取引先では、コロナ後も全員が都心のオフィスに通勤する必要はないと考え、該当する一部の部署の社員に「移住プログラム」を提示。都心から遠く離れて働くことを希望する社員には、家賃補助や引越し費用の一部を会社側が持つなどの新しい人事施策を発表した。これには会社側が想定した以上に多くの社員の手が上がり、会社側を驚かせたそうだ。