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2020/12/04

「夫がサイバーセックスにのめり込んで、セックスレスになってしまった」「妻がマスターベーションしているシーンを自撮りして、夜な夜な配信しているようだ。日中も部屋からまったく出てこない」「娘が知らない男性とネットを通じて知り合って、相手の要求に応じるなどの仮想のセックスをしてお金を稼いでいるようだ」など、相談内容は多岐にわたります。

サイバーセックスの中毒性の高さ

 サイバーセックスはその手軽さゆえ、当事者は睡眠時間を削ってでも耽溺し、最悪の場合はゲーム障害のように一日の大半をその行為に費やし、途中で切り上げられない状態に陥ります。周囲が強制的にやめさせようとすると暴力的になり、警察沙汰になったケースもありました。その結果として、生活習慣が乱れて昼夜逆転になったり、人間関係や社会生活が破綻することもあるのです。

 アメリカでは、「ある会社経営者の男性が、自らの会社の新規株式公開の日に6時間もオンラインポルノに没頭していた」というケースもあったようです。それほどサイバーセックスは中毒性が高いことがうかがえます。

 すでにセックス依存症の問題を抱える人が、インターネットの特殊なコンテンツを利用することで、さらに症状を悪化させることもあります。

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 また、サイバーセックスが当事者の社会生活に悪影響を与えるだけでなく、性犯罪につながる可能性もあります。オンラインでは簡単に疑似セックスができるため、「世の中の女性はいとも簡単にセックスさせてくれるし、実は多くの女性がそれを望んでいるのだ」などという当事者にとって都合の良い認知の歪みが瞬く間に形成され、性犯罪に発展していった例もあります。

児童ポルノへつながることも

 さらに児童ポルノとの関係性も無視できません。最近では、オンラインゲームやSNS などで知り合った未成年にインターネットを介して近づき、わいせつな自撮り写真を送るように求める事件が多発し、社会問題化しています。

 時代や技術の進化に伴って、依存症も多様化していきます。もちろんインターネットがない時代には、「サイバーセックス依存症」という言葉はありませんでした。テレビゲームやスマホがない時代にゲーム障害がなかったのと同じです。

 そして今後も、また新たな依存症が生まれていくことでしょう。とくにコロナ禍以降は、人々の生活様式も変化していますから、依存症の分野でも大きな変化があるはずです。トレンドは変わっても、人々が抱える心の問題には共通している部分が多いものですが、我々臨床家も時代に適した柔軟な対応方法や治療法を身につけていかなければならないと考えています。