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「帰れ! 帰れ! 中国に帰れ!」 夫殺しの中国人“鬼嫁”が、性感マッサージで働き始めたワケ

『中国人「毒婦」の告白』#10

2020/12/10
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国際結婚斡旋業のトラブル

 一方で、金儲けの手段としてスタートした中国女性との国際結婚斡旋業は最初からトラブル続きだった。

 見合いをし、結婚したものの、うまくいかないと、男性側からも女性側からも苦情が来るようになったのだ。中国女性との国際結婚では良くある話なのだが、たとえば、近所の人が証言する以下のような例だ。

「ある農家の40歳代の男性は、せっかく300万円を使って結婚したのに、1週間もしない内に嫁さんがどっかへ消えてしまった。どうしてくれる、と文句を言ってきた。でも、秋子さんによれば男性側が数百万円もの借金があったのに、妻になる女性に隠していたらしいのです。だから中国女性は“あんなに借金のある人を私に押し付けて、私を騙したのか、私は出て行く”と秋子さんに言ってきていたらしいのです。男性は秋子さんに責任を取れと抗議していたようですが、こういう時は秋子さんも負けてはいません。借金があるのを隠していたのは、あんたが悪い。それでは詐欺だと猛然と言い返しましたからね。気が強いんですよ」

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※写真はイメージ ©️iStock.com

 こうしたトラブルはすぐ噂になる。トラブルの多い国際結婚斡旋業者のお見合いツアーに参加する中年男性など、すぐにいなくなり、詩織の“事業”はかくして挫折する。

 しかし、彼女の金銭への執着は萎えることはなかった。むしろ切羽詰っていたという表現のほうが適当かもしれない。

〈この前後、私は茂さんに善意の噓をついたのでした。もっと正確に言うと、中国から日本に戻る際、帰国日を2、3週間ずらし、自宅に帰る前に、性サービスのない風俗店で働いていたのです。私は息子たちをよりよい学校に入れて良い教育を受けさせ、自分も少しお小遣いが欲しかったのです。茂さんはお金をくれなかったし、私は生理用品などを買うお金も欲しかったのです。〉

 ここで言う“性サービスのない風俗店”というのは、いわゆる前述した暴力団の男と付き合いはじめたころの“性感マッサージ”、掌で男性の欲望を満足させてやる風俗店のことである。