「ほんのわずかでも癒されることがあるとすれば……」
8人目に殺害された横浜市の女性Hさん(当時25)の兄と父親は11月26日、意見を陳述した。まず、兄が短いながらも、妹を失った苦悩を打ち明けた。
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事件から私の生活は一変しました。家族や友人との、たわいもない会話で笑っていた日々がなくなってしまいました。時折、妹の夢を見ます。妹と会話をしたり、ぬいぐるみを抱いてむじゃきに笑っています。「もしかしたら妹が帰ってきたんじゃないか?」と思うことがあります。しかし目覚めると、涙のあとだけが残っています。
妹が被告人に残虐に殺されて以来、私は人を信じることができなくなりました。一歩外にでれば、人が敵に見えてしまいます。公判で殺害状況を淡々と話す姿を見て、被告人は反省がないと思いました。すぐにでも被告人を殺し、仇をとってあげたい。何度も切り刻んでやりたい。
犯行内容をすべて聞いた私の心は完全に死にました。しかし、ほんのわずかでも癒されることがあるとすれば、被告人がこの世から消えることです。これ以外にはありません。
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「お前の家族が殺されたら、冷静でいられるのか」
続いて、Hさんの父親が声に感情を込め、声を荒らげながら、心情を訴えた。
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娘が殺害されたのは2017年10月18日です。当日、私は朝早く、仕事のため家を出発し、娘の姿を見ることはありませんでした。まさか、こんな事件に巻き込まれるなんて思いませんでした。
帰宅が遅いので、バイト先に電話をすると、定時にあがったと言われました。すぐに近くの交番に行きましたが、なかなかうまく説明できず、「写真をもってくるように」と言われました。一度、家に戻り、写真を持って行きました。結局、安否を確かめることがないまま、朝を迎え、行方不明届も出しました。その日から、家の電気をつけても、暗闇の世界にいるような気持ちでした。
11月初旬、報道の人たちが押し寄せました。間違いであってほしいと思いました。警察からも連絡があり、辛い毎日でした。娘は二度と帰ることはありません。
被告人をどれだけ強く憎んだことか。裁判でお前を見て、いっそう憎くなりました。おい、白石! お前の家族が殺されたら、冷静でいられるのか。それが親であり、家族だ。同じ年ごろの女性がいると、娘ではないかと思ってしまいます。
この思いは一生消えません。娘を返せ。平穏な日々を返せ。どうか、心の叫びを受け止めて、被告人には厳罰を科してください。
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「お前の家族が殺されたら、冷静でいられるのか」と問われた白石被告だが、11月25日の検察官からの質問で「もし自分の家族が殺されたら?」と聞かれたときは、「自分でも家族が同じことをされたら、殺した人間を執拗に追い詰め、殺していただろうと思います」と答えている。家族を思う気持ちは白石被告もあるようだが、一部の遺族には謝罪したものの、すべての被害者遺族の心情を理解しているようには見えなかった。
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