「遺族の心情を逆撫でしている」
3人目に殺害されたCさん(当時20、神奈川県、施設職員)の両親の代理人も、こう主張した。
「愛しい息子を突然、奪われました。お腹を痛めて産んだ子の骨を、どうして私が拾わないといけないのか。遺族に対しての慰謝の気持ちも表されていない。一言の謝罪もない。Cに対しては、証拠隠滅の達成しかない? 遺族には深くは思わない? 遺族の心情を逆撫でしている。傍聴することによって、事件のことを知ることができた。極刑を科すことが希望です」
4人目に殺害されたDさん(当時19、埼玉県、大学生)の両親の代理人は、無念さを訴えていた。
「裁判所には考慮していただきたい点があります。一つは、Dは、部屋に行ってから数十分で襲われたのです。(殺害しなかった)Yさんを待たせているから、『早く済ませないといけない』という理由からでした。もう一つは、Yさんの存在です。ヒモになりうるとして生かされました。それ自体はよかったかもしれません。しかし、ヒモになれないなら殺害をしてしまう。そうした命の選別は受け入れることができません。
両親にとって、Dは大切な一人娘でした。そんな娘を、人ではないような姿にしてしまいました。どうしても許すことができません。Dの事件の証拠調べ以後も、すべて傍聴しました。そうしたのは、強い恨みを保つためでした。辛い気持ちを抑えて、出来る限り出席しました。結論としては、死刑を望みます。首吊り士の名の通り、絞首刑が最もふさわしい」
「改善、更生、社会復帰などは考えられません」
Hさん(当時25、神奈川県)の父、母、兄の代理人は、Hさんと約束していたことを振り返りながら、白石被告を社会に戻さないように訴えた。
「被告人にとっては9人のうちの1人かもしれないが、わたしたちにとっては、掛け替えのない娘であり、妹です。娘はハロウィンや家族旅行を楽しみにしていました。しかし、部屋に明かりがついていても、暗闇の世界にいるようになってしまいました。いまだ娘の死を受け入れることができません。
娘は法廷では『H』であっても、9人のうちの1人でも、記号としての『H』でもありません。被告人は、大切なHのことを無残に殺害したのです。
2017年11月9日、身元が判明し、18年4月13日、遺体が家族のもとへ戻りました。どれだけ愛されていたことか。それなのに、Hは殺害され、バラバラにされ、遺棄されました。そのことで深い悲しみと憤りを抱かせました。被告人が法廷で述べていた発言で、遺族は傷つき、処罰感情を強くさせました。反省をしていないことの現れです。改善、更生、社会復帰などは考えられません。
命をもって償ってもらいたい。死刑を科すのが相当です」