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 エンバーマーとして働いていた時期を、のちに対談で彼女は《とにかく手を動かして、ご遺族が納得する形に仕上げるのが修復師の仕事なので、自我はなくていいんですね。ご遺族の望みが一番で、自分は黒子なんです。技術以外に脳は使わない》と振り返っている(※4)。

2013年には映画『甘い鞭』で主演を務めた  ©文藝春秋

壇蜜=「齋藤支靜加がサービス精神を持ったもの」

 自我を二の次にしている点は、グラビアの仕事と通じるものがあるともいう。先の対談では、《私、壇蜜っていうのは「齋藤支靜加[結婚前の本名]がサービス精神を持ったもの」って思ってますし》と語っていた。

 グラビアアイドルは裏方というのが、壇蜜の持論だ。《主役は、読者であるような気がするんです。お金を出して、それを手に取ってくれている人間が、いちばん盛り上がらなくてはいけない。私は、その人たちを楽しませるだけの者に過ぎない気がして》と彼女が話すグラビアの仕事は(※5)、たしかにサービス精神なしには成り立たない。

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 エンバーマーの仕事は、自分を客観視できないと務まらないので鍛えられたともいう(※6)。それゆえ、グラビアの仕事を始めても、自分について突き放して考えることができたのだろう。デビューから3年目、2012年9月よりワイドショー『サンデー・ジャポン』に出演したのを機にブレイクしても、次のように自分の現在地を冷静に見極めながら、将来の展望を語っていた。

2014年には『第37回日本アカデミー賞』で新人賞を受賞

《自分の立ち位置をマッピングしたときに、「新しいHなお姉さん」というカテゴリーに自分を入れたい。10~20代のアイドルが多く出てきて、なんとなく若年化している世界で、憂いを売りにした「大人の女」というジャンル。

 将来は自分の意見や考えが、すごく自然な流れで男女問わず伝わっていくようなポジションになれたらいいなと、漠然と思っています。最終的には、代わりのいない人間を目指しているので》(※7)