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40歳になった壇蜜のミステリアス “憂い”のある「大人の女」というジャンル創出の価値

40歳になった壇蜜のミステリアス “憂い”のある「大人の女」というジャンル創出の価値

12月3日は壇蜜の誕生日

2020/12/03
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「生」と「死」の匂いが漂う壇蜜のキャリア 

 芸名もそうだが、芸能界入りするまでの彼女の経歴には、生と死の匂いが漂う。大学卒業後、栄養専門学校に入り2年で調理師免許を取った。その後、母とその友人と一緒に、おかきなどの乾き物を製造する事業を立ち上げるつもりだった。だが、準備を進めていた最中に、母の友人が病気で亡くなってしまう。

芸能界入り前にはエンバーマーとして働くなど独特な経歴を持つ ©文藝春秋

 結局、壇蜜は和菓子工場で働くことにし、餡を練る作業に始まり、やがては季節の菓子の下ごしらえを任せてもらえるまでになる。そんなころ、事故で亡くなるなどした人たちの遺体を修復するエンバーマー(遺体衛生保全士)という仕事があるのを知った。

 母の友人の死を通じて、死生観について思いをめぐらせていたからなのだろう、彼女は、どうすればその仕事に就けるのか自宅近所の公益社に問い合わせ、専門学校で資格が取れると教えてもらう。それから専門学校に通い、2年次からは研修労働として葬儀社に派遣され、1年半ほど遺体の修復作業にあたった。先述のゲームのオーディションに合格したのはこのころである。

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芸能界のスタートはゲーム声優

 そうして資格を得て、葬儀会社への就職も内定する。しかし、入社しても最初は葬儀の施行担当をやらねばならず、エンバーマーの仕事がいつできるかわからないと言われてしまう。あくまでエンバーマーとして働きたかった彼女は、内定を辞退。そこへ専門学校で指導してくれた先生が誘ってくれ、非常勤ではあるが大学病院の研究所の職員となった。

 大学病院では、遺体の血液の管理などをしていたという(※4)。グラビアの仕事を始めたことは職場でもオープンにしており、周囲の人たちは温かい目で見守ってくれたとか(※3)。

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