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40歳になった壇蜜のミステリアス “憂い”のある「大人の女」というジャンル創出の価値

40歳になった壇蜜のミステリアス “憂い”のある「大人の女」というジャンル創出の価値

12月3日は壇蜜の誕生日

2020/12/03
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壇蜜が確立した「大人の女」というジャンル 

 この言葉どおり、「大人の女」というジャンルは彼女によって確立され、橋本マナミなどがこのあとに続いた。また、壇蜜というキャラクターも、当初テレビではどこか色物扱いされていたのが、しだいに人々に受け入れられ、見事に「代わりのいない」存在となった。

独自ジャンルの開拓に成功した壇蜜  ©文藝春秋

 彼女は、ブレイクして以来、「私は壇蜜という着ぐるみを着て仕事をしています」と折に触れて公言してきた。しかし、それも年を追うごとに微妙にニュアンスを変えつつあるようだ。一昨年、2018年の対談では、こんなふうに自身について表現している。

《今の私の存在って、着ぐるみを着ていて、何かのアクシデントで釘が刺さってしまったというか。半分脱げるけど、全部は脱げない。釘のせいで見えるんだけど、肝心なところは見えない。そういう状態なんじゃないかなと》(※6)

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 毎日ブログを更新し、レギュラー出演するラジオ番組でも、猫や小鳥、さらには蛇、ナマケモノと動物に囲まれながら暮らしていることを、時々話している(……と書きながらその番組を聴いていたら、ナマケモノはこの夏に死んでしまったという。合掌)。

 そんなふうにプライベートを垣間見せつつも、なおミステリアスな部分が残る。それが彼女の魅力になっているわけだが、今後、着ぐるみが全部脱げてしまう日が来るのか。それとも、別の着ぐるみへと着替えるのか――。

©文藝春秋

 冒頭で紹介したように、昨年初めて小説集を上梓したが、執筆自体はそれ以前から色々な人から勧められていた。しかし、いきなり本を出してゴーストライターが代筆したと疑われるのはいやなので、まずはエッセイや日記で地固めをし、人の手を借りないでもものを書けることが世に知れ渡ってからちゃんと小説を出そうと考えたという(※1)。

 そうやって、常に自分が世間にどう見られるかを頭に置きながら先を考えている彼女のこと、ひょっとするとすでに今後についても綿密に計画を立てているのかもしれない。

※1 『文學界』2019年12月号
※2 「婦人公論.jp」2020年7月13日配信
※3 『週刊現代』2015年6月27日号
※4 『週刊文春』2013年9月26日号
※5 『週刊朝日』2013年8月30日号
※6 『サンデー毎日』2018年9月30日号
※7 『週刊ダイヤモンド』2012年12月22日号

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