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「100人に1人の才能のなさと言われて」“街ディスり”の納言・薄幸が「やさぐれ」に辿り着くまで

「100人に1人の才能のなさと言われて」“街ディスり”の納言・薄幸が「やさぐれ」に辿り着くまで

納言・薄幸さんインタビュー#1

2020/12/06

genre : エンタメ, 芸能

note

「やさぐれ」と「ヤンキー」の違い

――幸さんのあのキャラクターって「やさぐれ」だけど「ヤンキー」ではない。その違いってなんなのでしょう。

 自分から「こんにちは、やさぐれてます」とは言ったことないんです。勝手につけられただけで。だから私も何をもってそんなことを思われているのか分かってないですよ(笑)。まあ、ネタのイメージは分かるんですけど。

――ヤンキーってもうちょっとチャラいというか、それこそ「仲間」とか「絆」みたいなものを指向しますけど、でも、幸さんを見ていると、もうちょっと孤独なイメージがある。

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 分かります。そうですね。ヤンキーって情がありますもんね。自分が映ってるのを客観的に見ると、薄情者に見えますもん。情がない。それに、ヤンキーよりは汚い店で飲んでいそうです(笑)。

 

――ヤンキーはどんな店で飲んでますか?

 音がガンガン鳴ってるところとかじゃないですか。うるさい、声が聞こえない。

――幸さんはもうちょっと大衆酒場みたいな感じの。

 そうですよね。あんまり客の居ない感じの。上野ら辺の。

――そう考えると「やさぐれ」って、すごくおじさん社会になじみやすいキャラなのかもしれないですね。実はとっつきづらさがないのかも。

 確かに圧倒的に男芸人の中で飲んでることが多いですね。それもおじさんたちと。まあ、(尼神インター)渚さんとかはメチャクチャ仲いいんですけど。

 でも、ちゃんとかわいがってくれますよ。やっぱり女なんで。トム・ブラウンの布川さんとかゾフィーのサイトウさんとか、ほんとおじさんとばっか飲んでるんですけど。

――サイトウさんは居酒屋やられてますもんね。

 そうですね。「幸は頑張ってるよ」みたいなことをずっと言ってくれるんで。「そうですよね」って(笑)。おじさんたちは褒めてくれるので、メチャクチャ飲んでて楽しいです。

飲みに行くと相方がとにかく気を使わない

――年上の男性芸人と飲む時は気を使いますか?

 気は使いますね。安部も一緒に飲みに行ったりするんですけど、安部がとにかく気を使わないんで、ほんとにイライラしちゃうんですよね。だって、こんな近くにいる先輩が酒ないのに、自分の飲み物だけ頼んだりするんですよ。

 

――ちょっと想像できます(笑)。

 すごいんですよ。マジかよ、っていう。サシで飲みに行くなら全然いいんですけど、大勢の中で一緒にいるとすごい目についちゃいます。

――なんでそこ気づかないんだよ、みたいな。

 不思議でしょうがないんですよね。なんでなんですかね、あの人。飲みに行く機会が少ないのかな。私は養成所の先生にも礼儀でよく怒られてたりしたんで。安部はアナ学(東京アナウンス学院)だから怒られなかったのかもしれないですね。