女性の若手芸人に対する注目がにわかに高まっている。3時のヒロイン、フワちゃん、ガンバレルーヤ、薄幸(納言)、サーヤ(ラランド)といった面々をテレビで見る機会が増え、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)や『しゃべくり007』(日本テレビ系)などでは若手女性芸人の特集が組まれた。彼女たちへの注目は、多段式ロケットのごとくお笑い第7世代のムーブメントを再び推し進めているようにも見える。
そんな中、特に今年の後半に入り急激にテレビ露出を増やしているのがぼる塾だ。『ネタパレ』(フジテレビ系)や『有吉の壁』(日本テレビ系)などに定期的に出演しているほか、現在は主要なバラエティ番組を一巡する勢いを見せている。
彼女たちが正式にぼる塾を始動したのは2019年12月。つまり、ブレイクまで1年も経っていない。彼女たちの人気の背景には、果たして何があるのだろうか。そして、彼女たちの何が面白いのだろうか。
必然にしか見えない結成のきっかけ
結成に至る経緯を改めて確認しておくと、もともとぼる塾は幼なじみのきりやはるかとあんりから成るしんぼると、NSC東京校で同期だった田辺智加と酒寄希望から成る猫塾が合流したカルテットだ。同じ吉本興業所属で、猫塾のほうが少し先輩にあたる。
結成のきっかけは、2018年末に企画された2組でのツーマンライブだった。そのライブ名が「ぼる塾」。ただ、つわりが激しくなった妊娠中の酒寄の出演が直前になって取りやめに。しんぼるの漫才と田辺のピン芸だけで乗り切ることも考えたが、作家の勧めもあり急遽残りの3人で漫才をやる運びとなる。ライブ自体は酔客のせいであまりうまくいかなかったようだが、手応えを感じていた彼女たちは別のネタライブでもトリオ漫才を披露。それが、思いのほかウケた。
彼女たちは当時のことを、「しんぼるの漫才の倍も倍も楽しくて」(あんり)、「今まで味わったことのないウケの量を感じて」(きりや)、「心底楽しめてる感じがするというか」(田辺)と振り返る(『人生が変わる1分間の深イイ話』日本テレビ系、2020年7月13日)。
そのころ、しんぼるは2人での活動に行き詰まりを感じ、解散の一歩手前まで追い込まれていた。猫塾はコンビのブレインである酒寄が活動を休み、残った田辺は慣れないピン芸に苦しんでいた。2組が置かれていたそんな状況も、合流を後押ししたようだ。
当時は偶然だったが後から振り返ると必然にしか見えない。売れっ子芸人にしばしば見られるそんな結成経緯は、彼女たちにも当てはまる。