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どっしりとした構えとシンプルな言葉選び。彼女のそんなツッコミは、幅広い対象を柔軟に受け止める懐の深さがある。東野幸治やネプチューンの名倉潤など司会業に重心を移したベテラン芸人たちが、彼女と絡むと芸人として改めて生き生きしだすのが印象的だ。
彼女のツッコミは、サンドウィッチマンの伊達みきおのようだと指摘する声もある。世代が近い女性芸人では、ハリセンボンの近藤春菜の系譜だろうか。個人的には、男性芸人同士のわちゃわちゃしたやり取りにノリつつも楔を打ち込むところなど、みちょぱに近い役回りもしているのではないかとも思う。
ボケ役、ツッコミ役が次々に変わっていく
彼女たちは、漫才もまた独特だ。
トリオ芸人の基本形は、ツッコミ、大ボケ、小ボケだといわれる。ぼる塾の場合、ツッコミが真ん中のあんり、大ボケが田辺、小ボケがきりやのように一見すると見える。
ただ、実際には少し違う。確かにあんりは、「私モテたいんですよね」などと言うきりやに、「よく人前でそんなこと言えるね」といった具合にツッコむ。けれど、田辺には直接ツッコむことは少ない。
むしろ泰然としたボケを繰り返す田辺に対してあんりは「田辺さんはそのままでいいですよ」などとフォローに回り、そんなあんりにきりやが「田辺さんばっかりズルい!」といった具合にツッコミを入れる。さらに、そんなきりやに田辺は「はい出たー、すぐに若さアピールする女ー」とボケの要素も交えつつツッコむ。