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 誰がボケ役を担っていて、誰がツッコミ役を担っているのか。役割が漫才の展開の中で次々に変わっていく。役割を切り替えながらあんりを中心に往復するこのやり取りが、後出しジャンケンがずっと続いているような面白さを生む。

 どうやら、元々しんぼるが作り上げてきた「きりやを否定するあんり」という構図に、「田辺を肯定するあんり」という関係を加えたのがぼる塾の漫才の原型らしい。その変拍子のようなリズムが生む面白さは、おそらくトリオでないと作れないだろう。「トリオは1人余る」とも言われる中、彼女たちの漫才はトリオであることの必然性を感じる。

漫才から発せられる“浮遊感”

 漫才の熱量にも特筆すべきものがある。特にきりやに顕著だが、3人が3人とも漫才上の役割から浮遊しているように見える瞬間がある。あんり以外の2人のセリフが“棒”に聞こえるのも、役割からの距離を感じさせる。

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公式YouTubeより

 では、彼女たちはどういう役回りを演じているのか。何をやっているのか。ここで改めてあんりの言葉に立ち返るならば、「私たちが楽しんでる姿をみて、楽しんでいただきたい」ということなのだろう。

 テレビで人気の女性芸人はピン芸人が多く、コンビであっても“個”が前面に出る印象がある中、トリオとしての渾然一体さも感じさせる彼女たち。初めて3人で漫才をやったとき、客よりも誰よりも「私たちが一番笑っちゃって」と語ったのは、3人のうち誰だっただろうか。

 躍進を続けるぼる塾。今年12月に開催される『女性芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)では、ついに決勝に進出した。田辺のギャグ「まぁねぇ~」は新語・流行語大賞にもノミネートされた。“正しさ”と“面白さ”を“楽しさ”でつなぐ彼女たち。今後もさらに、私たちを楽しませてくれるだろう。