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容疑者は「丁寧に挨拶してくれるきちんとした方」

 富塚さんの自宅付近の防犯カメラからは、富塚さんの後をつける佐藤容疑者の姿も確認されている。富塚さんの自宅から約1キロほど離れた目白の高級住宅街の近くに、佐藤容疑者の自宅アパートもあった。

佐藤容疑者の自宅に家宅捜索に入る捜査員 ©文藝春秋 撮影・細尾直人

 佐藤容疑者を知る近隣住民は驚きを隠さずに語る。

「1年ほど前からこのアパートにお母さんと2人で住んでいます。引っ越しの時には60代くらいのお母様が挨拶に来てくれました。(佐藤容疑者は)とにかく物静かでおとなしい人。挨拶すると丁寧に返してくれるし、うちの子供が騒がしくしていても、『気にしないでください』と気をつかってくれる男性でした。

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 いつも茶色い作業着みたいな服を着て煙草を吸っていましたね。でもベランダで一服を済ますのではなく、わざわざ近所の喫煙所まで吸いに行っていたのですごくきちんとした方という印象だった。まさか逮捕されるとは……」

佐藤容疑者 ©文藝春秋 撮影・細田忠

佐藤容疑者が5年前に語っていた“福祉の道を選んだ理由”

 佐藤容疑者は2013年に福祉系の専門学校を卒業後、2014年から2019年頃まで埼玉県にある特別養護老人ホームに勤務していた。紺色のポロシャツに茶色いエプロンという制服姿で、24時間体制のサポートが必要だったり、寝たきりとなってしまった高齢者を看る介護士だった。

 当時、この老人ホームが発行した冊子「施設だより」に、佐藤容疑者の意気込みが記されていた。

施設HPより

《母親が保育士をしていたことで、福祉に関心を持った。学校で保育分野と介護分野の両方を学ぶ機会があり、子供から高齢者まで楽しく生活が送れるように支援が出来たらと福祉の道に進んだ》

《利用者からさりげない気遣いの言葉を頂き、人と関わりの大切さを学び成長の糧にしている》

《安心して楽しく、より多くの時間を●●●(注・施設名)で生活が送れるように事故予防に努めている》

 しかし、こうした慈善精神に満ちた言葉とは裏腹に佐藤容疑者は凶行に及んだ。犯行後も、豊島区内の認可保育園に出勤している。