槙尾 僕らが面白いと思っていることをやっても、たぶん今は“テレビでそんなの言っちゃダメ”とか“そんなのテレビに出すな”とか言われてしまう。
岩崎 でもね、僕としてはむしろそれはうれしいというか、中途半端な状態にあるよりも、真逆にいるほうがいい。いずれ、揺れが戻ることもあるだろうし。なんて言うのかな…自分が変わることはない。そういうの(トーク番組など)は得意な人に任せておけばいい。
もちろん、自分たちがコンビ組み立てで、まだキャリアもない頃だったら、そっちのボールを拾いにいかなきゃいけないっていうこともあったと思う。でも、かもめんたるとして、これだけやってきたものが一応はあるから。今さら、そっちに行ってもしょうがないかなとも思うんです。「絶対にテレビで売れてやる」みたいに変に高い着地点を描く必要は、いまはないのかな。
「こぼれたタネから、花が咲き始めている」
確かにいわゆる“ひな壇芸人”としてテレビで活躍する機会はなかったかもしれない。ただ、最近では日テレ系のバラエティ番組「有吉の壁」にも準レギュラーとして出演し、シュールなネタが少しずつウケ始めているのも事実だ。
そんな現状を見つめながら、いま岩崎はこんな風に考えている。
「まだ全然満足もしていないし。キングオブコントみたいな賞レースはある意味で青春だったけど、あれで終わりじゃない。いまも本当に『何か面白いことが起きたらいいな』と思いながら、結局は自分のなかでは突っ走っている状態です。でも、ようやくこぼれたタネから、花が咲き始めているっていう感じかな」
ブレずに自分の信じた道を突き進んできたからこそ、また何かが変わりつつある――。
いまのかもめんたるには、そんな予感がしている。
写真=釜谷洋史/文藝春秋