特に“コント師”としてこれまで作ってきたネタの数々は、演劇の脚本や演出にも非常に大きなメリットを与えてくれるのだそうだ。
「コントをやっていて、サービス精神のようなものがすごく染み付いていて、それが今、武器になっている気がするんですよね。コントは5分間だから、とにかく量はたくさん作ってきた。今まで自分が0から考えて作ったお話は、普通の脚本家の人と比べたら、たぶんいっぱいあるほうだと思います。
それだけに、『何でも話を作れちゃう』という自信はあるんです。話をでっちあげて、広げて、終わらせる…そういうのはお手の物っていうか。そこだけは自信があるかな」
相方の槙尾が飲食業で学んだことは?
一方で、相方の槙尾ユウスケも独自の路線を歩んでいる。
その一つは、間借りカレー屋「マキオカリー」の経営だ。バーなどを昼間に間借りしてランチタイムのみ営業している。
「やっぱり生活をしなきゃいけないから。かもめんたるの仕事をあまりしていない状況で、劇団を始めたけど、実際に収入をそこで得るのは正直難しいんです。だから、スタートはお笑いを続けるためにカレー屋をやっているという感じでした。
コロナの前から飲食店がぼろぼろ潰れているっていう現実があって、昼をうまく有効利用したいっていう飲食店のニーズとちょうど合致した感じです」
岩崎の活動とは意味合いが異なるが、槙尾にとっても間借りカレー屋の経営は、思わぬ充足感やメリットもあった。
「芸人って舞台上でお笑いをとるのがすごく快感というか、充実感を得られるし、やりがいがあると思うんです。でも、コロナ禍の今はなかなかライブができない。そういう充足感が得られなくなっていたんです。
そんな時に、お客さんが目の前で食べて、『美味しい』とか言ってくれるとやっぱりうれしいですよね。う大さんが、さっき“サービス精神”って言っていましたが、こうやったら、お客さんがより喜んでくれるんじゃないかとか、満足度高くなるんじゃないかとか、お笑いの経験を生かして飲食店をやっています」
芸人としてはプロモーションの面でも飲食店の経営はメリットがあるのだと槙尾は言う。
「従業員には、お笑いや役者をやっている人が多いんですけど、普通のアルバイトだとそういう別の顔を表に出すことはないと思うんです。でも、ここでは働いている時間も、芸人としての顔を宣伝できるんですよね」