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「私、本当はボケキャラなんですよ」山口恵梨子女流二段が明かす将棋界“ここだけの話”

「私、本当はボケキャラなんですよ」山口恵梨子女流二段が明かす将棋界“ここだけの話”

棋士・女流棋士の素顔を描いた『山口恵梨子(えりりん)の女流棋士の日々』

2020/12/11
note

「解説の先生のすごさってあまり伝える機会がない」

――この本は、さくらさんが山口先生への取材を通して作ってきたんですよね。

さくら そうですね。喫茶店や会議室でお話を聞いたり、一緒に将棋会館に取材に行ったりもしました。最近は、Zoomでお話を聞くこともあります。

――本のなかでは、いろんなエピソードが紹介されていますが、印象深い話やオススメの話など教えてください。

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山口 私は、木村一基先生(九段)と藤井猛先生(九段)の話をご紹介できたのが嬉しかったです。

さくら 解説名人であるお二人は、客層を見て話す内容も変えておられるんですよね。

――聞き手が話せなくても会話の流れを作る藤井猛九段のイラストに「解説も藤井システム化」と書いてあって面白かったです。

山口 解説の先生のすごさってあまり伝える機会がないので、こうしてみなさんに知ってもらえて嬉しいですね。

 

――山口先生にとって初めての聞き手のお仕事は、高校生のとき、お相手が藤井猛先生だったんですね。

山口 当時は「はい」しか言うことが思いつかず……厳しかったです。でも今ではこんなに話すようになりました。昔は本当に口数が少なかったんですよ。

――昔というのは?

山口 女流棋士になるまでですね。

――では、昔から山口先生のことをご存知の方は、ずいぶん変わったなという印象を持たれる?

山口 そうですね。小学校の先生とか、女流棋士でいうと安食さん(総子女流初段)は、中学2年生の頃からご存知なので「すごい変わったね」っておっしゃいますね。

 女流棋士になってから、とてもよく話すようになったという山口女流二段。変わったのは口数だけでなく、そのキャラも変わったようだ。

将棋界は「ど天然の集まりですよ」

山口 私、本当はボケキャラなんですよ。でも聞き手のお仕事で、棋士の先生に遠慮しすぎるのもよくないなと思って、いろいろ聞いているうちに、遠慮のないツッコミキャラになっていました。

――さくらさんも、山口先生はツッコミキャラだと思っていました?

さくら 聞き手のお仕事を拝見しているときはツッコミキャラだと思っていたのですが、実際にインタビューをするようになってツッコミじゃないなと(笑)。どうやら天然さんだなと思うようになりました。

 

――将棋界というのは、天然さんが多いところですか?

山口 そうですよ。ど天然の集まりですよ。私がツッコミにならざるを得ないほど、天然しかいないところなんです。

さくら ふふふ(笑)。

――ちなみに、もっとも天然だと思うのは誰ですか?

山口 永瀬先生(拓矢王座)です。彼は大真面目なんです。

――藤井聡太二冠は?

山口 しっかりしていると思います。

さくら なんかわかるような(笑)。

 ちなみに、山口女流二段によれば、天然さんとしっかりさんを見極めるポイントは「天然の方と仲良い人は、しっかりしている」とのこと。独自の人物観察眼もとてもユニークである。