鈴木環那さんは「お父さんですね」
――女流棋士のなかでは、誰と仲がいいですか?
山口 仲はみんなといいですよ。同じ道場に通っていた子はもちろんですが、一緒に仕事をしていると仲良くなるんです。「本当は仲が悪いんじゃない?」とうがった見方をされる方もいますが、そんなことはありません。
――この本の中で、中村桃子さん(女流初段)と切磋琢磨されてきた話が紹介されていますが、お互いプロになってもその距離感は変わらないですか?
山口 そうですね。ずっとお姉ちゃんのような存在ですね。
――具体的にどういうところが?
山口 とにかく面倒見がいいのと、努力を見せないタイプなんですよ。いつもニコニコしている。でも、見せないだけですごく努力していることはよくわかります。
――中村桃子さんとは「AbemaTVトーナメント」でも一緒にMCをされていましたが、そのときご一緒されていた鈴木環那さんは、どのような存在ですか?
山口 うーん。お父さんですかね。
さくら なぜですか?(笑)。
山口 私たちを食べさせるために働いてくれる……。
――ん?
山口 なんだろ! あの方はですね、後輩思いで、誰かが泥をかぶる必要があれば、真っ先にかぶる人なんですよ。そしてそんなことを誰にも言わずニコニコしている感じです。
――男気を感じる方なんですね。
山口 そう! 男気を感じるのでお父さんですね。一緒にご飯行っても必ず会計するし、私の家に来たときも、寿司はマグロがいちばん美味しいからと、高級なマグロ弁当を持ってきたんですよ。本当にいい人。背中見せるタイプで、こうありたいと思う方ですね。
会ってみると「わりといっぱい隙がありました」
さくらはな。さんは、実際に山口先生に出会う前は、「なんでもできるすごいお嬢様だと思っていた」という。でも実際に会ってみると「わりといっぱい隙がありました」と笑いながら語ってくれた。でも、この隙というか山口先生の個性が、この漫画の大きな魅力になっていることは、読んだ人ならばきっと感じることだろう。
これまで、将棋を知らない人に将棋界の楽しさを知ってもらうには、『将棋の渡辺くん』(伊奈めぐみ・作/講談社)が最適だと感じていたが、それに並ぶ作品が登場したのではないかと感じる。さすが「指すのは初段。観るのは三段」のさくらはな。さん。とても素敵なお仕事に大きな拍手を送りたい。
写真=深野未季/文藝春秋
INFORMATION
山口恵梨子女流二段とさくらはな。さんから頂戴した記念色紙を1名様にプレゼントします。
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