――さくらさんのおすすめの話はどれですか?
さくら 私は、イベント運営を通じてわかる女流棋士の得意分野の話です。
――鈴木環那女流三段は梱包が得意。藤田綾女流二段はパソコン入力がとてつもなく早いと紹介されているところですよね。
さくら 山口先生は、交渉事を得意とされているのですが、それを表現するために目をグルグルにしてみました。
とあるホテルのイベントで、お酒を会場に持ち込む交渉をした山口女流二段。本来なら有料のところ「無料で」と交渉するその目がグルグルしていて、見ているとつい「どうぞ」と言ってしまいそうになる。ぜひ交渉事が得意な山口女流二段の目をご覧ください。
プロフィールには「出身地が鳥取県」とありますが……
――この本のなかに、女流棋士になるため将棋会館に近い千駄ヶ谷に引越しされたとありますが、これは何年生のときですか?
山口 小学校3年生のときですね。
――やはりご両親が、娘を女流棋士にしたいと?
山口 そうですね。平日も将棋道場に通えるようにと千駄ヶ谷に引っ越しまして、学校も転校したんです。
――プロフィールには「出身地が鳥取県」とありますので、鳥取から千駄ヶ谷へ?
山口 いやいや。私、2歳から東京なんですよ。生まれたのは大阪。鳥取は住んだことがなくて。
――すみません。ちょっと意味がわからないんですが……。
山口 うちの家族、おかしい人が多いんですよ(笑)。私が生まれたとき、おじいちゃんが嬉しくなって、自分の地元の鳥取に戸籍を出しちゃったんです。それで本籍が鳥取県にあるので、出身地をそこにしているんです。
さくら 鳥取県には、山口先生の名前がついた大会もあるんですよね。
山口 鳥取県の三朝町ですね。祖父と町長さんが頑張ってくれて「山口恵梨子杯将棋大会」が開催されています。
転校すると言われたときは……
――それで小学3年生のときに、都内の別の場所から千駄ヶ谷に引越されたと。
山口 その前の学校は、わざわざ幼稚園受験までして入って、そのまま持ち上がりで入学した学校でした。小学校から将棋の授業があるからと選んで入ったところで、そこで卒業したかった思いもあったんですが……。
――では、転校するといわれたときは?
山口 正直、抵抗もありましたが「女流棋士になりたいなら、将棋道場に通う機会を増やしたほうがいいよ」って言われて。それなら、しょうがないかなという感じですね。
山口女流二段曰く「変わった父と母」ということだが、そのユニークなご両親の描写も、この本の見所のひとつ。カバーをめくったところには、山口女流二段の幼きときの写真がたくさん掲載されているが、これも両親が撮り溜めてきたものだという。