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「逃げ恥」は“恋愛が苦手な男性”を肯定する ピュアな“ムズキュン”がなぜウケたのか

2021/01/01

 いきなりですが、『逃げ恥』はドラマの“ピュアさの進化・深化”を象徴した作品だと思うんです。

 2016年10月~12月に放送され、最終話視聴率が20.8%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を叩き出して大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)。2021年1月2日に、最終話から4年後を舞台にした新作スペシャルが放送されるとあって、ファンたちの熱が再燃中です。

©TBS

 そこで新作スペシャルを存分に満喫すべく、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーである筆者が連ドラシリーズを振り返り、考察していきます。

火曜はハグの日……醍醐味は“ムズキュン”にあった

 35年間カノジョなしで、“プロの独身”を自負する絶食系男子・津崎平匡(演・星野源)。大学院を出るも就活で失敗し、派遣社員となるも派遣切りに遭ってしまった森山みくり(演・新垣結衣)。

 ひょんなことから平匡の家で家事代行のアルバイトを始めたみくりが、お互いの利害関係が一致することから平匡に“契約結婚”(偽装結婚)を提案し、奇妙な共同生活をしていくという社会派ラブコメディです。

 平匡とみくりは惹かれ合うのですが、恋愛感情ナシが前提の“契約結婚”という形で一緒にいるので、牛歩の如くゆ~っくり歩み寄っていく様が本作の醍醐味。そのじれったい感じがムズムズしつつも、極上のキュンキュン感も味わえるため、“ムズキュン”という造語も生まれるほどでした。

ハグ・チャレンジは「いきます! やぁっ」

 そんな“ムズキュン”が象徴されるのが5話「ハグの日、始めました!」の回。

 2人から新婚感がしないとのことで、“契約結婚”ではないかと上司に疑われたり、実際に同僚にバレたりしたので、「恋人っぽい空気」を醸し出すために二人は毎週火曜日を「ハグの日」に制定するのです。

 みくりが「じゃあ、両手を広げてください。そこに私が飛び込むので、衝撃波が来たらギュッと抱き締めて、カウント1・2・3で終了です」とレクチャーし終え、いざ、ハグ・チャレンジ。みくりが「いきます! やぁっ」と掛け声とともに平匡の胸に飛び込み、衝撃波を受けた平匡も「やぁっ」と抱き締める。

 ……という、なんともぎこちないやりとりですが、これこそが“ムズキュン”の代名詞であり、社会現象化するほど大ヒットした大きな要因なのです。