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拉致、監禁、17時間のリンチ…“ヤクザ”と正面衝突した“争議団”若手メンバーを襲った悲劇

『ヤクザと過激派が棲む街』より #2

2020/12/13
note

新左翼と警察の関係に対する考察

「新左翼に対して警察はまだ脅威と見ていたと思いますよ。いまは中核派なんかも軍事部門の活動はしないけど、当時はまだけっこうありましたからね」(三枝)

©iStock.com

「俺はこう判断している。連合赤軍の浅間山荘事件(1972)のあと、新左翼は全体的に武装闘争を清算(作戦として放棄)する傾向で、非合法な運動では『反日』(東アジア反日武装戦線)、中核派(1986、迎賓館ロケット弾事件に関与)、社青同解放派(日本社会主義青年同盟解放派、複数の内ゲバ殺人に関与)だけが目立つかたちになっていた。そのほかの山谷に関係する党派は大衆運動に取り組む姿勢だったよね。当時の赤軍派にしても大衆路線になっている。日本国内に拠点をつくる必要があって、国内における武装闘争はあり得ない、という考え方。ある意味では労働組合という持続的な運動をやろうということだよね、赤軍派は。公安は各党派が総括した内容をよく研究しているから、特別な脅威は感じていなかったと思う。

 ただいちばん恐いのは、日本赤軍がなにをするかわからないという点。ハイジャックは清算しているけど、むかしのいろいろな人間が各地に潜行していたから、そういった意味での警戒はしていたと思う」(キムチ)

ヤクザと過激派が棲む街

牧村 康正

講談社

2020年11月26日 発売

拉致、監禁、17時間のリンチ…“ヤクザ”と正面衝突した“争議団”若手メンバーを襲った悲劇

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