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リクルートの社風は「辞めないほうがおかしい」

 リクルートを退職するとき、生意気にも「ちょっとは引き止められるかな」と思っていました。でも実際は「引き継ぎとかいいから、さっさと辞めろ」と言われたんです(笑)。けっこうショックでしたが、スッキリと辞められたのは本当によかったです。そういうお言葉をいただいたおかげで、後ろ髪を引かれることなく辞められましたから。

 リクルートがしんどい時代にMBA留学のお金を出してもらっていたので、退職するのが後ろめたい気持ちはありました。でもまわりの先輩や上司の方々が強く後押ししてくださいました。「自分のやりたいことがリクルートでできないならば、辞めて社会に貢献したほうがいい」という考えの人が多かったのです。

 会社の制度や風土として、新しいことを後押ししてくれる人が多かった。だから起業することにあまり違和感はありませんでした。自分が携わっていたインターネット事業や、次世代事業開発のような投資の事業は、特に新しいことに意識が向いている人が多かったです。むしろ「ずっと会社に残っていたらちょっとおかしい」くらいの雰囲気がありました。

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 実際、退職後に成功された方はとても多いです。たとえば、マクロミルを立ち上げた杉本哲哉くんや、楽天のCTO(当時・最高技術責任者)だった吉田敬くんなどですね。ぼくはその中では保守的なほうでした。吉田敬くんから辞める相談をもらったとき、ぼくは「いや、きみは優秀だから、ずっとこのままリクルートに残るべきだ」と言いました。でも結局退職して大成功されたので、ぼくのアドバイスは絶対当てにならないですね(笑)。

「共働き夫婦」を支援するサービスを考えていた

 ぼくがどんな会社をつくりたかったのか、少しお話しさせてください。

 リクルート退職後に立ち上げたのは「クリエイティブ・リンク」という会社です。そこで今でいう「食べログ」のようなレストランガイドのサービスを作りました。

 ただもともとやりたかったのは「共働き夫婦を支援する検索エンジン」でした。

 日本の女性の就労比率は、結婚や出産を機にいったん離職し、育児が一段落したら再び働きだすという「M字曲線」を描くといわれています。そのM字曲線をどう「台形化」させるか。この問題に向き合えるビジネスを立ち上げたいと思っていたんです。