今回の菅首相の「こんにちは、ガースーです」にも同じ匂いがある。このタイミングで言って好感度が上がると判断した本人、もしくは周囲の甘さが気になって仕方ない。
実は今から振り返ると興味深いこともある。
「星野源とのコラボ動画」と「アベノマスク」で安倍首相まわりのコロナ禍での浮世離れ感がわかってしまったあの頃の記事を調べると、こんな内情も書かれていた。
『危機管理対応 変化の兆し 菅氏の関与見えにくく』(日経4月21日)
官邸の政策決定の変化を報じる記事である。どうやら「菅外し」がおこなわれているらしいという。その理由として菅氏の「令和おじさん」人気への警戒や、菅氏に近い菅原一秀経済産業相や河井克行法相が相次いで辞任したことで、安倍首相との間に距離ができているという見方である。
しかしその結果どうなったか。官邸内では「菅外し」がおこなわれていたが安倍首相に近い官邸官僚のアイデアが次々にスベり、菅氏は結果的にこの後復権したのだ。Go Toキャンペーンをひっさげて首相にまでなった。
今から読むと、なんという劇的な経緯だろう。
安倍元首相がスベったのと同じ轍を踏む菅首相?
しかし驚くのはそれだけではない。現在、首相となった菅氏も似たようなことをしているからだ。「説明」を問われ、Go Toキャンペーンについても問われている。なかなか会見や説明をしないなかで、ニコ生の「こんにちは、ガースーです」である。
この流れはすごい。
今の状況は皮肉にも安倍元首相が今年前半にスベった頃と同じなのだ。あのおかげで首相の座が近づいたというのに菅氏も同じような振る舞いをしている。というか安倍首相も菅首相も実は「危機管理に弱い説」が浮かんでしまう。
そういえば「桜を見る会」の前夜祭の補填の件で、安倍事務所の秘書の言うことをずっと2人とも「信じていた」というのも、本当だとしたらこちらのほうがずっとマズい。
このツートップがプーチンや習近平やトランプやバイデンらとどんな話をしてきたのか、これからしていくのか、国益が気になるのである。