文春オンライン

1年の転職活動を経てたどり着いた3つの答え

カネなし、カレなし、コネもなし。30オンナの脱力系転職活動記

2017/09/21
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 このまま新聞記者として公私の区別なく働き続けていいのか。そんな疑問や体力の衰えなんかを理由に、5年間勤めた新聞社を2016年に辞めた私。辞めたからってこれまでの分もリア充道を邁進する、なんてことはなく、語学留学という名の海外逃亡や行き当たりばったりのグダグダ転職活動を行い、気づけば丸1年無職をしておりました。

 しかし幸いにして、ベトナムでフリーペーパーの編集職の内定を得て、もうここで転職活動終わらせようかな、と考えておりました。何よりも無職2年目に突入しないことを優先したかったのです。

 8割がたベトナム行きに心が傾いておりましたが、最後に1社だけ面接を受けることにしました。受けたのは、マスコミ某社子会社のニュース編集職。ネット配信にふさわしい記事をピックアップして、リライト、公開するお仕事です。

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 なぜ最後にここだけ受けようと思ったのか。やはりニュースのネット配信という仕事に興味があったし、これからますます重要になるだろうという思いがあったのもありますが、横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』にも出てくる、アレが聞いてみたかったんです。アレ。

 そう、「ピーコ」。

 ごく簡単に説明すると、「ピーコ」とは、某通信社が配信を受けているマスコミにお知らせ、速報などを流すときのアナウンス音の通称です。私の働いていた支局にはありませんでした。『クライマーズ・ハイ』を読んで以来、一度聞いてみたいと思っていたピーコ。

©iStock.com

 ちなみに面接会場に向かうときに通ったフロアで聞くことができましたが、正直なところ、ピーピーいう音より人間の声のほうがよく聞こえてくるんだな、という感じでした。

 つつがなく面接は終わり、仕事も面白そうで惹かれるものはありましたが、現場に取材に出られる分、心はベトナムに傾いていました。

メッセージ1つで「タメの社長」が登場

 せっかく東京に来たことだしと、無職の私を心配してくれている友人と会うことにしました。食事もそこそこに、友人は自分の仕事のつながりで人を探しているベンチャーや、スタートアップ企業を教えてくれます。持つべきものは友です。

「VR(バーチャルリアリティ)のベンチャーで、海外から問い合わせがバンバン来てるけど、メンバーがみんな英語が苦手で、対応に苦労してるってとこがあるんだよね。留学してたんだしどう?」

「オウンドメディアの編集作業してくれる人を探してるファッションブランドもあるよ。社長はうちらとタメの女性!」

 ハ~。同い年で社長の人もいるかと思えば、私のように無職もいる。30年も生きているとちょっとした選択の積み重ねで、人生に大きく差がつくものだと痛感しました。

 募集要項を見てみると、ファッションに詳しい人、ウェブ編集の経験がある人、とあります。駄目だ、どっちも門外漢すぎる。ブランド名は以前ニュースで見かけて、面白いと思っていただけに残念です。