白石被告と弁護人は信頼関係が築けていない
判決後、弁護団の一人は、「判決前に(白石被告と)接見したときには、控訴しない意向だった」と話したが、一方で、控訴を検討中でもある。控訴するかどうかの方針は、今後、白石被告と接見して判断するとして、即日控訴はしなかった。
なお、白石被告と弁護人は信頼関係が築けていない。公判中でも、弁護方針をめぐって「親族に迷惑をかけたくない。しかし、公判前整理手続きに入ってから争うとなりました。話が違う。そのため、受け入れられません。方針が合わず、根に持っています。以上です」などと答えている。控訴するかどうかは、判決後の接見で、白石被告の意向を確認する。
被告本人が控訴を取り下げた事例も
過去には、死刑判決を受けて、弁護側が控訴したものの、被告本人が控訴を取り下げた事件があった。
2015年8月、大阪府寝屋川市の中学生男女2人が行方不明になり、遺体となって発見された。この事件で殺人の疑いで逮捕、起訴されたのは山田浩二被告(50)。2017年12月の大阪地裁で求刑通り死刑の判決を受けた。弁護人は大阪高裁に控訴したが、山田被告は弁護人に相談せずに控訴取り下げの書面を提出した。
一度、山田被告の死刑は確定したが、弁護人は大阪高裁に取り下げを無効のするように申し入れし、「今回限り無効」となった。検察側は異議申し立てをしたが、山田被告も再度、控訴取り下げの書面を提出した。2020年11月26日、大阪高裁は、控訴取り下げを有効とする決定を出した。
2016年7月、神奈川県相模原市にある知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」(県立の施設、運営は社会福祉法人)で入所者45人が殺害された事件で、植松聖死刑囚(30)が殺人罪に問われた。横浜地裁は2020年3月16日、死刑判決を出した。弁護側は27日に控訴したが、30日に植松は控訴を取り下げた。3月31日に死刑判決が確定した。
果たして本件ではどのような展開になるのか。控訴期限は判決から2週間後となっている。