2017年10月に神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が発見された事件で、強盗や強制性交等殺人などの罪に問われている白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の判決公判が12月15日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれた。矢野裁判長は、検察側の求刑通り、死刑を言い渡した。
緑の作業着のような服を着て、白いマスクをしていた
白石被告は「死刑判決が出ても控訴しない」などと述べているが、弁護側は控訴を検討している。16席の一般傍聴席を求めて、435人が並んだ。約27倍の倍率だった。
白石被告は公判中、ずっと同じ緑の作業着のような服を着て、白いマスクをしていたが、この日も同じ姿だった。判決を言い渡される時、矢野裁判長に促され、証言台に立った白石被告は、「座ってください」と言われ、席についた。そして主文は後回しにし、判決理由から読み上げた。その瞬間、死刑判決の可能性が高まり、傍聴席には緊張感が漂った。その後、判決理由を述べ終わると、裁判長は「死刑」と言い渡した。
裁判長 主文は聞こえましたか。
白石被告 はい。聞こえました。
裁判長 控訴する場合は2週間以内に東京地方裁判所で手続きをしてください。
白石被告 (うなずく)
その後、白石被告は被告席に戻った。筆者にはいつもよりゆっくり歩いていたように見えた。一方、閉廷時に裁判官や裁判員に向かって起立した後の着席は、いつもよりも早めと感じた。
白石被告は「死刑でも控訴しない」
結審の時に、裁判長に「他に何か言うことは?」と聞かれて、白石被告は「ありません」と静かに語っていた。この日も一言応じただけだった。被告人質問で「死刑は怖いか?」と検察側に聞かれて、「怖い」と答えていた白石被告だが、「死刑でも控訴しない」と、各メディアの取材に述べている。理由は、「親族に迷惑をかけたくない」というものだ。
判決によると、死刑という量刑になった理由について、「まず何よりも、9名もの若く尊い命が奪われ、女性の被害者8名は強制性交までされたという本件の被害結果は極めて重大」であり、被害者らの遺体は「ばらばらに解体された後、ごみとして投棄され、切断された頭部等は猫砂をいれたクーラーボックス等に入れられた状態で被告人方から発見された」として、「死者としての尊厳も踏みにじられている」として、遺族の処罰感情が高いとした。被害者参加型論告のときも、6組の被害者遺族のうち、5組が「死刑」という言葉を出していた。