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「顔がパンパンに腫れた娘が全裸で仰向けに…」出稼ぎネパール人が起こした残虐殺害事件の真相

『日本の凶悪犯罪 昭和―令和「鬼畜」たちの所業100』より #1

2021/01/05
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 京アニ放火殺人事件、埼玉愛犬家連続殺人事件、北九州連続監禁殺人事件、桶川ストーカー殺人事件……時代が昭和から令和に移り変わる間、凶悪犯たちによって数々の凄惨な事件が起きてきた。

 ここでは、『日本の凶悪犯罪 昭和―令和「鬼畜」たちの所業100』を引用し、2008年に北海道で起きたカレー店妻娘殺害事件の真相について紹介。母国にも妻娘がいた犯人の悪魔のような実像に迫る。(全2回の1回目/後編 を読む)

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「顔がパンパンに腫れた娘が全裸で仰向けに…」

 その部屋に入ると、火事場特有の木の焦げた臭いが鼻についた。警察の実況見分が終わったばかりで、殺害現場となったベッドには青いビニールシートが被せてあり、床には乾いた絵の具のような血糊がべっとりとこびり付いていた。

 殺害された被害者の名前は赤前智江さん。犯人は、彼女の夫であるネパール人のバハドー・カミ・シュアム。男は妻を殺め、証拠を隠滅するために家に火をつけただけでなく、2人の間に授かった生後6カ月の娘も、近所の川に遺棄した。

 殺害現場は、3人が暮らしていたログハウス2階の寝室だった。つい数カ月前まで3人が暮らしていた部屋には、被害者の血糊と乳児が飲んでいた粉ミルクの缶が無造作に転がっており、突然起きた凶行の悲惨さを物語っていた。

 事件が起きたのは、2008年5月6日未明のことだった。取材に応じてくれた智江さんの父親は言う。

「家に入ったら、煙がもうもうとして、何も見えませんでした。急いでライトを取って来ると、煙だけでなくシューッという音もする。何かと思ったらガスのゴム管が切ってあったのです。急いでガス栓を止めて2階に上がると火の手が上がっており、部屋の奥に顔がパンパンに腫れた娘が全裸で仰向けで横たわっていたのです。それは見慣れた娘の顔ではありませんでした。すぐに娘を抱きかかえ救急車を呼んだのです。あんな残虐な殺し方ができる人間は何者なのか、娘の旦那だった男だけに、どうしても気になるのです」

©iStock.com

 父親は、無念やる方ない表情で、事件当時の状況を語ってくれたのだった。事件の動機は、カレー店などの経営がうまくいかず、諍いが絶えなかったことにあると発表されていた。ただ、それだけの理由で妻を殺め、家に火をつけるようなことをするだろうか、この事件には深い闇があるように思えた。私も自分の足で、シュアムという男が何者なのか、調べ上げたいという気持ちが湧いてきた。

ネパールではカーストの最下層だった

 シュアムと智江さんがネパールのカトマンズで出会ったきっかけは、彼女が銀細工を学ぶためにネパールの工房を訪れ、そのスタッフにシュアムがいたことだった。05年、06年と二度、智江さんはネパールを訪れているのだが、二度目にネパールを訪れたときからシュアムと付き合い始める。そして、07年4月には、シュアムを日本へと呼び寄せ、北海道で結婚生活をスタートさせた。07年10月には子供も生まれ、ネパールの洋服やアクセサリー、そしてシュアムがつくった銀細工などを売る店と、カレーレストランをオープンさせた。

 だが、日本で生活を始めて約1年、2人の結婚生活は最悪の形で幕を閉じたのだ。