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「顔がパンパンに腫れた娘が全裸で仰向けに…」出稼ぎネパール人が起こした残虐殺害事件の真相

『日本の凶悪犯罪 昭和―令和「鬼畜」たちの所業100』より #1

2021/01/05
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日本人女性との結婚を知っていたネパールの妻

 彼女は14歳のときにシュアムと結婚し、6歳になる娘もいると言った。工房では話しづらいこともあり、後日、彼女が暮らしているアパートを訪ねて話を聞くことにした。彼女は、木製のベッドと煮炊きをするコンロだけが置かれた、四畳ほどの部屋に娘と2人で暮らしていた。カーテンを買う金もないのだろう。強い日差しを避けるために、窓には新聞紙が貼ってある。

 生活ぶりからは貧しさが滲み出ていた。

 彼女の名前はビマラ、年齢は23歳。智江さんに会ったことがあるかと尋ねた。

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「彼女については1回見かけたことがあったけど、話したこともありません。夫が工房に彼女を連れて来たとき、私も工房にいました。すると夫はすぐに彼女を連れて出て行ってしまったんです」

 その後、シュアムは智江さんとネパールで結婚の手続きをして日本に向かったのだが、その経緯を彼女は知っていたのだろうか。

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「夫が、日本人の女と結婚して日本に行くことは知っていました。夫はそのことを隠し続けていましたが、工房の人間が教えてくれたんです。すぐに私は反対しました。そんなことは許せなかったからです。カトマンズにあるNGOにも助けを求めに行きました。NGOは動いてくれませんでしたし、夫は3年か4年働いたら帰って来ると言ったので、最後は日本に行くことを認めたんです」

数多くの逮捕歴

 シュアムは智江さんを騙し、出稼ぎ目的のため日本に行ったのは明白だった。智江さんを殺めただけでなく、カトマンズにいる妻子までも傷つけていた。

 さらにカトマンズで取材をしていくと、シュアムはたびたび暴行事件を起こしていると証言する人物にも出会った。実際に警察署に足を運んで、シュアムの名前と年齢で照会してみると、2回の逮捕歴があることがわかった。7年前と5年前に傷害事件を起こして逮捕され、7年前には1カ月刑務所に入っていた。