コロナによる新しい生活様式の中、カラオケ店や居酒屋代わりにラブホテル(レジャーホテル)を利用するケースが増えています。ビジネスプランがあったり、女子会プランやパーティープランがあったり、おひとり様での利用もOKだったりと、もはやカップル利用だけにとどまらない、ラブホテルの多様化が進んでいるというのは、皆様すでにご存知の通り。

 最近のラブホテルは予約もできて、途中外出もOK、Wi-Fiもサクサク繋がって、VODも無料で見放題。美味しいルームサービスや無料レンタル品も種類豊富。手ぶらで出かけて「非日常」が楽しめる、まさに「大人の遊園地」!

 これまで3000軒超のラブホテルを訪問した私が、コロナ禍の今だからこそオススメしたいホテルをご紹介します。

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後世に残したい“昭和遺産ラブホ”

 オシャレでスタイリッシュなデザインのレジャーホテルが増えていくなか、頑なに創業当初からの客室クオリティを保ち続け、昭和の息吹を今なおそのままに営業しているホテルがあります。

 1977年創業の「ホテル富貴」は、大阪・京橋駅から徒歩5分ほどの繁華街の路地裏にあり、日本に現存する“昭和遺産ラブホ”の中でも最も古い部類に入ります。夜ともなれば、今となっては珍しいネオン管が妖しく灯り、独特の気品と雰囲気を醸し出します。

一周回ってサイバーパンクな感すらあるネオン管 ©日向琴子

 外観から内装、照明、家具、小物、壁紙、タイルまで、すべてのデザインに古き良き時代のラブホテルのエッセンスがギュッと詰まっていて、2代目である現在の女性社長が大切に引き継いで今に至ります。

昭和レトロな雰囲気がたまらない ©日向琴子

 映画監督や写真家、地元アーティストのMVなど、プロの撮影にも活用されており、写真・映像映えすることから、ここ数年SNSを中心に若い女子や外国人に特に人気があります。

 必ずと言っていいほどアップされているのがこちらの「神殿風の高床式ベッド」があるお部屋で、御簾の向こうにダブルベッドが設置され、天井には春画が描かれています。

荘厳さが感じられる神殿風の高床式ベッド ©日向琴子
ベッドインして天井を見上げると春画が! ©日向琴子

 お部屋ごとにまったく違うつくりになっているのも「ホテル富貴」の大きな特徴の一つ。「ローマ」と名付けられた202号室には、前方後円墳型のタイル浴槽があり、貝殻のシャワーカーテンのビニールが可愛らしいのです。102号室「舟」は、ベッドの形が舟のかたちをしていて、創業時は、船の下に水が張ってあり、魚も泳いでいたとかいないとか…。

蛇口をひねって出てくるお湯はすべてラドン泉 ©日向琴子

現代の施工業者では再現不可能なデザイン

 昭和レトロな空間が楽しめる「ホテル富貴」では、アート系のイベントが行われたり、地元学生の卒業制作に使われたり、阿波踊りの会場として開放されたり、と、従来のラブホテルの概念を覆す企画も数々行われています。

 客室ごとに趣向を凝らしたデザインは、現代の施工業者では再現が難しく、オープン当時からの素材や装飾を最大限に活かす為に、日々の修繕やメンテナンスは職人さんを集めて作られた改装チームで行なっているとのこと。

渋さ抜群のホテル内階段 ©日向琴子

 ラブホテルを“昭和レトロなアート空間” として、世に知らしめたとも言える「ホテル富貴」、ノスタルジックで幻想的な、美しい光景は、一見の価値ありです!